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両チームで対照的な「2勝」の意味。
「スコット鉄太朗」は巨人を支えきるか。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/10/31 11:45
今年はレギュラーシーズン64試合に登板、防御率は1.22、42ホールドポイントで自身3度目となる最優秀中継ぎ投手に輝いた山口。
相手は1番からの好打順。しかも、全員がミート力のある左打者である。
10月30日の日本シリーズ第4戦、巨人ベンチは、山口鉄也に最終回のマウンドを託した。
6-5とリードはわずか1点の緊迫した状況。しかし、6年連続で60試合登板を記録する百戦錬磨のサウスポーはあっさりと3人を封じてみせた。
第4戦が終わった時点で結果だけを見れば互いに2勝のイーブンではある。しかしながら、これまでの楽天と巨人の勝ち方は全く異なる内容だった。
楽天は「先発3本柱」がシリーズでも力を発揮している。初戦で敗れはしたものの好投した則本昂大に第2戦で完投したエース・田中将大。第3戦の美馬学も、6回に負傷降板するまでは無失点に相手打線を抑えた。
とはいっても、やはり現在のチームを支えているのは好調な打線だ。第3戦を13安打5得点で快勝したことからも分かるように、4試合で実に41安打。非常に活発である。
巨人が楽天をはるかに凌駕する武器。
一方で、巨人の戦いぶりはどうか。
初戦でエース・内海哲也の力投で先勝し、第2戦でも菅野智之が奮闘したものの、第3戦の杉内俊哉、第4戦のホールトンは序盤でKO。先発に不安が残る。
そして、それ以上に深刻なのが打線だ。
戦前の予想では、圧倒的に優位とされていた強力打線が4試合でわずか20安打。第4戦こそ6得点を挙げ意地を見せたものの、これまでわずか1安打の阿部慎之助に象徴されるように爆発には程遠い。
それでも巨人には粘りがある。ポイントとなるのは、楽天をはるかに凌駕する武器――。
中継ぎ、抑えの力、である。
両チームの数字を見れば、その差は歴然であることが分かる。
楽天はここまでのべ8人の投手を2番手以降に投入し9回1/3を6失点、防御率は4.84。初戦、第3戦こそ計4回1/3を1失点に抑えたが、接戦となった第4戦は4投手で5回5失点。計7四死球の大乱調と、指揮官の星野仙一も「俺のミステーク」と采配を悔やんだ。当初の懸念材料が王手をかけようとした試合で露呈した形となった。