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両チームで対照的な「2勝」の意味。
「スコット鉄太朗」は巨人を支えきるか。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/10/31 11:45

両チームで対照的な「2勝」の意味。「スコット鉄太朗」は巨人を支えきるか。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今年はレギュラーシーズン64試合に登板、防御率は1.22、42ホールドポイントで自身3度目となる最優秀中継ぎ投手に輝いた山口。

シーズン同様、盤石の「スコット鉄太朗」。

 それに対して巨人のブルペンは、シーズン同様、盤石の内容をシリーズでも披露している。

 第4戦までのべ13人が2番手以降で登板し、19回で失点はわずか3。防御率は1.42。なかでも、僅差で登板した第1戦を代表するように、スコット・マシソン、山口、西村健太朗から成る勝利の方程式、通称「スコット鉄太朗」の安定感は抜群だ。3人で計7回を投げ無失点。完璧な火消しである。

 盤石の継投。圧倒的な力で相手を支配できるその背景を、山口はこう表現していた。

「ジャイアンツという強いチームで、常に緊張感を持って試合に臨めていることが大きいと思います」

勝利の方程式が形成できなかった意外な理由。

 勝利を義務付けられたチーム。そうであるが故に、失敗がクローズアップされてしまう巨人の中継ぎ、抑えはウイークポイントだと批評されていた時期もあった。

 短いスパンで判断すれば、中継ぎで結果を残す投手はいた。高木康成、越智大祐、高木京介、福田聡志……。なかには故障や病気という不運に見舞われた選手もいるが、ただ、どうしても長期的に役割を果たせない。

 抑えも、近年だけで2006年の高橋尚成や'07年の上原浩治のように、急場しのぎに先発投手を抑えに回すこともあった。'08年には横浜(現DeNA)からクルーンを獲得し3年間、その座は安泰だったが、'11年に抑えを任された久保裕也が故障で離脱と、守護神定着は叶わなかった。

 絶対的な勝利の方程式を形成できない理由を、巨人OBの解説者がこのように論じていたことがあった。

「トータルで見れば悪い成績ではない。でも、巨人というブランドがあるだけで、打たれる日が少しでも続くと『守護神失格』とかマスコミが騒ぎだす。そうなると、首脳陣も我慢できなくなって色んなピッチャーを試すようになるから定着しない。絶対的な存在を作りたいのなら、フォアボールを連発しても打たれても、『この選手と心中する』と決意を固めて起用しないと選手は育たない」

【次ページ】 リリーフ陣の厚みを増した、指揮官の英断。

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