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俺たちのJリーガーをなめんなよ。
柿谷曜一朗が“推される”理由。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byAFLO

posted2013/08/31 08:01

俺たちのJリーガーをなめんなよ。柿谷曜一朗が“推される”理由。<Number Web> photograph by AFLO

尊敬する森島寛晃からの慰留を受け、海外からのオファーを断って「セレッソの8番」を背負うことを選んだ柿谷曜一朗。彼のJリーグへの愛は、日本サッカーにとって重要なものであるに違いない。

俺たちのJリーガーを、なめんなよ。

 海外組が日本代表の多数を占めるようになった今の時代。柿谷はドイツのクラブからのオファーを蹴って、残留したという。そこにはチームにまだ恩返しできていないという思いがあったに違いない。しかしながら海外のクラブに簡単に目を向けることなく、まずはセレッソというチームで、Jリーグで、自分の才能を伸ばしていこうとする若武者の心意気に、ファンもメディアもどこか心に爽快感を得たのではあるまいか。

 日本代表の人気が上がって、Jリーグの人気が上がらないのは健全な形ではない。Jリーグが盛り上がっていかなければ、いずれサッカー人気は下火になってしまう。柿谷は言わば、若きJリーガーの象徴であり、彼がザックジャパンに生き残っていくことがセレッソのファンにとどまらず、それこそ大袈裟に言えば、Jリーグ全体のファンの希望にもなっているような気がしてならない。

 俺たちのJリーグ、俺たちのJリーガーを、なめんなよ。

 柿谷をめぐる現在の異様な盛り上がり方にはそんな雰囲気を、筆者は感じてしまうのだ。

心にピンク、そしてサムライブルーを。

 成長するなら、海外の一流選手と戦える欧州でもまれることがきっと一番いい。それは間違いない事実であり、否定するつもりは毛頭ない。ただその一方で、国内育ちでも世界に通用することは、ザックジャパンの心臓部である遠藤保仁が先の南アフリカW杯でも証明してくれている。その遠藤が今こなしている役割を将来的に誰かが引き継いでこそ、Jリーグでも世界レベルに到達できるというもう一つの道を確立できるはずである。「後継者」の雰囲気を漂わせている一番手が、やはり柿谷ではないだろうか。

 9月の親善試合2連戦は、柿谷にとって重要な意味を持つ。前田遼一、ハーフナー・マイクの常連組がいないなかで結果を残せば、レギュラーに食い込んでいく可能性だってある。

 初戦のグアテマラ戦は、セレッソの本拠・大阪長居スタジアムで開催される。心にピンク、そしてサムライブルーを――。

 柿谷曜一朗が輝く舞台は、整った。

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