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俺たちのJリーガーをなめんなよ。
柿谷曜一朗が“推される”理由。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAFLO
posted2013/08/31 08:01
尊敬する森島寛晃からの慰留を受け、海外からのオファーを断って「セレッソの8番」を背負うことを選んだ柿谷曜一朗。彼のJリーグへの愛は、日本サッカーにとって重要なものであるに違いない。
ザックジャパン新戦力の台頭が、本物になりつつある。
9月の親善試合2連戦(6日グアテマラ戦、10日ガーナ戦)のメンバー発表が行なわれ、7月に優勝した「東アジアカップ組」の新顔からは、8月のウルグアイ戦に続いて柿谷曜一朗、工藤壮人、山口螢、青山敏弘、森重真人の5人が選ばれ、今回は齋藤学、大迫勇也の2人が追加された。
23人中の7人、つまりメンバーの3分の1近くになっている現状からも、彼らに対する指揮官の期待度は決して低くないとみる。まだ「お試し期間」であるのかもしれないが、指揮官がこだわってきた従来のメンバーを外してまで呼んでいるのだから今後、序列が変わってくる可能性は十分にあるということだ。
台頭する「東アジアカップ組」の代表格は、言うまでもなく柿谷である。
日本を優勝に導いたアウェー韓国戦の2ゴールはあまりにインパクトが大きかった。トラップのうまさ、アイデア、2本のシュートで2点を決めてしまう決定力の高さ、勝負強さ……新しいスター候補の出現に、メディアも一斉に柿谷の存在を大きく扱った。
柿谷が注目されたのは、代表で活躍したからではない。
しかし、不思議と過剰な報道だとは思わなかった。なぜなら代表に入ってくる前から、あおりが始まっていたからだ。
柿谷が注目されていたのは、何も東アジアカップで活躍したからではなかった。アフターではなく、ビフォー。コンフェデレーションズカップで3戦全敗に終わって新戦力のテストを望む声が高まっていくなかで、代表にまだ呼ばれていない柿谷をクローズアップするメディアがいかに多かったか。今考えると、かなり異例のことだった。ファン、メディアが何故、ここまで柿谷に魅かれているのか、今一度、検証してみたくなった。
理由の一つはメンバーを固定化してきたザックジャパンに対する閉塞感であり、もう一つが柿谷のポテンシャルに期待してのことだとは思う。そしてまた、彼のヒューマンストーリーにも惹きつけられるものがある。