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パ・リーグが圧倒し続ける交流戦。
セの各球団が直視すべき課題とは? 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/06/12 10:31

パ・リーグが圧倒し続ける交流戦。セの各球団が直視すべき課題とは?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

楽天・田中将大は交流戦で5試合を投げて4勝(1試合は勝ち負けつかず)と大車輪の活躍。6月9日の巨人戦では自己新となる開幕8連勝を達成した。

交流戦を減らしたいセの真意は「パに勝てない」から!?

 交流戦は'05、'06年が216試合、'07年以降、144試合に縮小され現在に至っている。巨人、阪神という人気チームとのカードを増やしたいパ・リーグに対して、セ・リーグの多くの球団は巨人、阪神との対戦数が少なくなる交流戦はできるだけ減らしたいと思っている。今年3月には現行の1球団=24試合を1球団=18試合に減少する案が実行委員会で提案されている。

 2連戦で組まれている現在の日程では試合のない日が多くなる、というのが表向きの理由だが、巨人、阪神との対戦を増やして観客増、さらにテレビ放映があった場合の放映権料を多く確保したいというのが本音だろう。根っこには分が悪いパ・リーグとの試合を少なくして、世間に根づいている「人気のセ、実力のパ」という認識を薄めたい思いもあるだろう。

 しかし、負け続けているときにこういう提案をすれば、弱いから勝負を避けようとしているのだ、と思われてしまう。せめてそうならないように、2、3年勝ち越してからそういう提案をするべきである。

過去10年の日本シリーズでもパが圧倒している現実。

 セ対パの最高舞台、日本シリーズでも'03年以降の10年間、パが7勝3敗でやはりセを圧倒している。日本一になったのはソフトバンク(ダイエー)、西武、ロッテ、日本ハムの4球団に対してセは巨人(2回)と中日の2球団だけである。上位球団と下位球団がはっきり分かれ、広島とDeNA(横浜)などは'06年以降の7年間、Bクラスをさまよい続けている。この両球団は交流戦8年間の通算成績でも勝率4割前後と低迷している。こういう現実にセ・リーグ各球団の首脳陣は目をそむけないで直視してほしい。

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田中将大
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