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パ・リーグが圧倒し続ける交流戦。
セの各球団が直視すべき課題とは? 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/06/12 10:31

パ・リーグが圧倒し続ける交流戦。セの各球団が直視すべき課題とは?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

楽天・田中将大は交流戦で5試合を投げて4勝(1試合は勝ち負けつかず)と大車輪の活躍。6月9日の巨人戦では自己新となる開幕8連勝を達成した。

交流戦でのパ・リーグ優位はどこに理由があるのか?

 ちなみに、12球団の8年間の通算成績は次の通りだ。ここに今年の成績を加えて、パとセの違いがどこにあるのか皆さんで考えてほしい(太字はセ・リーグの球団)。

1位 ソフトバンク   126勝 82敗、勝率.606
2位 ロッテ       112勝 91敗、勝率.552
3位 日本ハム   115勝 94敗、勝率.550
4位 巨人       111勝 97敗、勝率.534
5位 中日       110勝 99敗、勝率.526
6位 阪神       105勝102敗、勝率.507
7位 ヤクルト    107勝106敗、勝率.502
8位 西武       106勝106敗、勝率.500
9位 オリックス    101勝108敗、勝率.483
10位 楽天       93勝119敗、勝率.439
11位 広島       85勝121敗、勝率.413
12位 DeNA     82勝128敗、勝率.390

 交流戦でのパ・リーグ優位を考えるとき、いろいろな理由が挙げられる。

◇指名打者制度がないセ・リーグは敵地での戦いが不利
◇パ・リーグのほうが好投手が揃っているので短期決戦に有利
◇通常のペナントレースより試合間隔が空くので先発要員が少なくてすみ、多く揃っている好投手を注ぎ込みやすいパが有利……等々

「試合間隔が空くので先発要員が少なくてすむ」というのは確かにある。たとえば、楽天・田中将大のペナントレースでのローテーションはおよそ中6日だが、交流戦では中5日で回っている。そして、楽天の先発要員はペナントレースの5、6人に対して、交流戦は4、5人ですんでいる。

エースや守護神が流出してもパの勢いは衰え知らず。

 ゆえに、好投手が多いパに有利に働いている、という理屈になるのだが、球界を代表するパの好投手は毎年のようにMLBやセ・リーグに流出しているという現実が一方にある。

◇'06年……豊田清(西武→巨人)、パウエル(オリックス→巨人)
◇'07年……岡島秀樹(日本ハム→レッドソックス)、松坂大輔(西武→レッドソックス)
◇'08年……薮田安彦(ロッテ→ロイヤルズ)、小林雅英(ロッテ→インディアンズ)、福盛和男(楽天→レンジャーズ)
◇'09年……久保康友(ロッテ→阪神)
◇'11年……小林宏(ロッテ→阪神)、建山義紀(日本ハム→レンジャーズ)
◇'12年……ホールトン(ソフトバンク→巨人)、杉内俊哉(ソフトバンク→巨人)、和田毅(ソフトバンク→オリオールズ)、ダルビッシュ有(日本ハム→レンジャーズ)、岩隈久志(楽天→マリナーズ)

 これだけ多くの好投手が流出してもパ・リーグが勝ち続ける現実に、セ・リーグ各球団はしっかり向き合わないといけない。

【次ページ】 主力投手の流出が、若手にチャンスを与え、成長を促す。

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