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G大阪、J2首位攻防戦で今季初黒星。
“他人任せ”の意識は捨てられるのか!?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2013/05/07 12:20
試合前、「自分たちの戦いは少しずつできるようになってきている」と話した遠藤だったが、後半、神戸の勢いに押されて2失点。J2で初めての敗戦となった。
ガンバ攻略のヒントを与えることになった2試合。
さらにガンバの今後にとって痛いのは、神戸の勝利でガンバ対策がより明確になったことだ。開幕戦でガンバを苦しめた京都と同じように、神戸も前線から激しくプレッシャーをかけてミスを誘い、そこから早く攻めることに徹したことが奏功した。また、ガンバは完全に崩さないとシュートを打たない。そのため、ゴール前を固めてうまく時間を稼せば、なんとかなるという“自信”を他チームに与えてしまっている。
「本来なら、そうした早いプレスを掻い潜って回すぐらいにならないと。そうじゃないとJ1に上がっても通用しない」
遠藤はそう言うが、思ってもなかなか出来ないのが、ガンバの現状だ。
さらに効いたのがロングボールだ。この日の田代が今野との競り合いにほとんど勝っていたように、前線に強さと高さのある選手がいれば、そこにボールを入れて起点を作り、押し込むことができる。
ガンバが相手の術中にはまった試合を京都と神戸を相手に見せたことは、各チームに大きなヒントを与えることになった。J2のチームは、個の力が落ちる分、戦術を愚直なまでに徹底してくる。それに対応することができないと、この日のような試合が増えていくかもしれない。
今シーズン初の黒星を、意識改革のきっかけにできるか。
遠藤のパートナーの問題は、岩下が復帰し、今野がボランチで起用できれば解消されるだろう。だが、それでは、チーム力の底上げにまでは繋がらない。ガンバの若手はポジションを奪い取る気迫に欠ける傾向にある。ケガ人が出て、タナボタ式で試合に出られるということではなく、この間にポジションを自分のものにするような強い気持ちを持って試合に臨むべきではないだろうか。
また、遠藤が指摘したように、お互いをフォローする意識も必要だ。誰のミスであれ、誰かがフォローしてくれるだろうといった他人任せの意識を捨てることだ。
また、ミスに対して、ガンバの選手はやや寛大すぎる傾向がある。果敢なトライの結果のミスと不用意なミスは、まったく意味が異なる。仲の良さは、ガンバというクラブの良き気風のひとつだが、試合では、それが足枷となっているのか、厳しく要求できていないことがある。身内にやや甘いところが昨年、痛い目にあった要因のひとつでもあったはずだが、そこをこれからどう修正していくのか。
「大事な試合を落としたというショックはあります。こういう試合を昨年も落としてJ2に落ちたんで。ここで勝って波に乗り切れないのは、チームとして、まだまだ甘いところがあるということでしょ」
二川は、そう言った。
個々の能力が高くてもチームとして活かせなければ意味がない。だが、意識が変わればプレーも変わる。今シーズン初の黒星が、そのきっかけになれば、ガンバにとっていい良薬となるのだが……。