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期待外れの前王者マンチェスターC。
それでもマンチーニ続投を推す理由。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/04/25 10:30

期待外れの前王者マンチェスターC。それでもマンチーニ続投を推す理由。<Number Web> photograph by Getty Images

4月8日のオールド・トラッフォードでのマンチェスターダービーの試合前にマンUのファーガソン監督(手前)と握手を交わすマンチーニ監督。

大規模予算投入も、補強は監督の意のままに進まず。

 マンチーニのスタイルである強硬路線に、選手が不満を持っても仕方のない部分はある。CBのジョレオン・レスコットなどは、いきなり、先発の機会が昨季から半減した。だが、昨夏に加入したマティヤ・ナスタシッチが、20歳とは思えぬ冷静な守りを披露していることを考えれば、非情ではあるが理不尽ではない。若き新CBは、先のマンU戦とチェルシー戦でも先発し、コンビを組むバンサン・コンパニを凌ぐ貢献度を見せた。

 肝心のチームの成績にしても、今季の期待外れを「マンチーニの限界」と解釈するのは如何なものか? CLでは、2年連続で「死の組」に入る不運があった。ベスト4入りすることになる、レアル・マドリーとボルシア・ドルトムントと同居したのだ。プレミアでは、開幕前の補強が意のままに進まず、昨季優勝後に予想された「マンC天下」の実現が阻まれた。

 予算だけを見れば、推定で合計約70億円が移籍市場に投じられたが、即戦力となったのはナスタシッチのみ。但し、監督の責任とは言い難い。ハビ・ガルシア、スコット・シンクレア、ジャック・ロドウェル、マイコンらは、マンチーニの第1希望ではなかった。しかも、ワールドクラスの追加を望んでいた最前線には、ロビン・ファンペルシを逃したばかりか、1人も加わらなかった。指揮官が動きの鈍さを非難した強化担当役員は、開幕後の昨年10月に1軍関連の任務を解かれ、代わりに、バルセロナで補強実績のあるチキ・ベギリスタインが招聘された。

マンUと比べ「取りこぼし」が目立つ理由とは。

 だが、この役員人事こそ「時すでに遅し」。マンUに奪われたファンペルシが、優勝争いの決め手となった。マンCは、第32節を終えてリーグ最少の27失点と、守備力ではマンUを上回るが、得点力でポイント差をつけられた。ファンペルシの21ゴールがなければ、マンUの得点数は第33節を終えて54得点。消化32試合のマンCを4点下回る。

 さらに言えば、マンCの58得点は、セルヒオ・アグエロが怪我に泣いた影響を受けた数字だ。昨季リーグ戦23得点のアグエロは、膝とハムストリングの怪我で、合わせて約2カ月半の戦線離脱を余儀なくされた。調子の波に乗ることも難しく、リーグ戦26試合出場で10得点に留まっている。

 マンCに取りこぼしが多かったことは事実だ。年明けからの3カ月間、1引分けを挟む9連勝だったマンUに対し、マンCは、エバートンの他、サウサンプトンにも敗れた。マンUが2ポイントを落とした相手は、トップ4を争うトッテナムだが、マンCは、降格候補のQPRと、トップ6争いが精一杯のリバプールと引分けている。

 この点に関し、マンチーニは「歴史の違い」を指摘した。ファーガソン体制で獲得した主要タイトル数が優に20を超えるマンUには、飽くなき勝利意欲を大前提とする文化が既に存在する。一方のマンCは、一昨季に42年ぶりのFAカップ優勝、昨季に44年ぶりのリーグ優勝を実現したマンチーニの下で、勝者としての文化が培養され始めたばかりなのだ。

【次ページ】 王座奪回への執念を力に変えることができるか?

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