プレミアリーグの時間BACK NUMBER
期待外れの前王者マンチェスターC。
それでもマンチーニ続投を推す理由。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2013/04/25 10:30
4月8日のオールド・トラッフォードでのマンチェスターダービーの試合前にマンUのファーガソン監督(手前)と握手を交わすマンチーニ監督。
マンチェスター・シティによる、4月第2週の“ビッグゲーム”2連勝は、「時すでに遅し」と報じられた。
たしかに、8日の直接対決に勝った(2-1)ところで、プレミアリーグ2位のマンCが、10ポイント差で首位のマンチェスター・ユナイテッドに追いつくことは、ほぼ不可能なままだ。14日のFAカップ準決勝では、チェルシーを2-1で退けて決勝進出を果たしたが、国内カップ選手権は、今季のマンCにとって優先順位の低い目標だった。
それでも、筆者は、例外的に前向きだったケビン・キーガンによるマンC評に賛成だ。2001年から2005年にかけてマンC監督を務めたキーガンは、BBCの取材を受けて「ファンは今後への期待を胸に抱いていることだろう」と語り、現監督を「素晴らしい仕事をしている」と讃えた。そのロベルト・マンチーニ監督には今季限りとの噂があるが、国内ライバルからの2連勝は、続投をアピールする上で、遅くはなかったと思われる。
本当に選手の心はマンチーニから離れているのか?
もちろん、今季が期待外れであることは間違いない。昨季のプレミア王者は、国内でのタイトル防衛と、欧州でのCL決勝トーナメント進出を第一目標に掲げていた。結果はどちらも達成できず。リーグ優勝は、エバートンに敗れて首位との差が13ポイントに開いた3月中旬の時点で、事実上の望みを絶たれた。CLでは、初挑戦の昨季に続くグループステージ敗退に終わった。
加えて、マンチーニには、指揮官としての硬派なスタイルが選手の反感を買うようになってチームの力を引き出せなくなった、との非難もあった。アレックス・ファーガソン監督がチームを束ね続けるマンUに対し、マンチーニのマンCは、足並みが揃っていないと言われていたのだ。
しかし、実際に選手の心が離れていれば、ダービーとはいえ、もはや結果が優勝争いを左右しないマンU戦で、チームが随所で今季最高レベルの出来を示すことはなかったのではないだろうか? 勝つべくして勝った戦いぶりは、「トップレベルのチームというものは、優勝の望みが失われても、残り試合全勝の決意で戦うものだ」という、指揮官の叱咤に応えたものと受け取れた。続くチェルシー戦でも、立ち上がりから攻勢に出てリードを奪い、終盤は守って逃げ切るという、監督のプラン通りの勝利が実現された。