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仙台育英、大阪桐蔭に死角はあるか!?
「投低打高」な春のセンバツを占う。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/02/06 10:30

仙台育英、大阪桐蔭に死角はあるか!?「投低打高」な春のセンバツを占う。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

昨年11月14日、明治神宮大会決勝の関西戦で12-4と圧勝して優勝を決めた仙台育英の選手たち。今春、東北勢は史上最多の5校が出場する。

超高校級の森捕手擁する大阪桐蔭は春夏3連覇なるか。

 仙台育英とともに優勝候補に挙げられるのが、昨年の春、夏に続く史上初の甲子園大会3連覇を狙う大阪桐蔭だ。旧チームにくらべると藤浪晋太郎(阪神)のような大エースがいないが、森友哉(捕手)を筆頭に笠松悠哉(三塁手)、近田拓矢(一塁手)と続く上位打線の迫力は大会屈指と言っていい。

 3番の森は春夏連覇したときの甲子園大会では1番・捕手として活躍し、高校球界ではその名がとどろいている。170cmそこそこの上背ながら、昨年8月31日から行われた「第25回 18U世界野球選手権」ではベストナインに相当する「オールスターチーム」の捕手に選出され、今秋のドラフト会議ではドラフト1位指名も噂されている。

 この18U世界選手権では、第2ラウンドのアメリカ戦で強烈な印象を残している。5対4とリードした7回裏、バックホームを狙う走者の体当たりを2度受け、1度目は脳震盪を起こしてベンチに下がり、2度目は大きく後方に吹っ飛ばされているのだ。小倉全由・全日本監督が「あれじゃ死んじゃいますよ」と訴えるほどラフなプレーで、明らかにアメリカチームはディフェンスの要として機能している森を潰しにかかった。

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 生還は許したが逃げずに走者に向かって行く姿勢、さらに促されてベンチに引き下がる際、何度もポジションに戻ろうとする責任感の強さなど捕手としての能力の高さがいかんなく発揮された場面で、森の評価は逆に上がった。

 なお、ストップウォッチを用いた能力判定では選手権で次のような記録を残している。打者走者としての一塁到達タイムは最速で4.06秒、ディフェンス面の二塁送球では3回戦の済々黌戦で1回表に二盗を阻止したときが1.86秒とプロでも滅多に見られないタイムを弾き出した。文句なしの超高校級捕手と言っていいだろう。

右の強打者を揃えた常総学院、浦和学院が2強に迫る。

 この2強に迫るのは強打を看板にする常総学院と浦和学院の関東勢、さらに好投手を擁する報徳学園と済美だろう。常総学院と浦和学院はプロ、アマ問わず希少価値が高い右打ちの強打者が揃っているところが魅力だ。とくに常総学院の内田靖人(一塁手)は昨年の選手権で19三振を喫して敗れたものの、桐光学園の超高校級左腕・松井裕樹から2安打、2打点を記録している。

 第2打席の安打は追い込まれてからのスライダーをおっつけて右方向に弾き返し、第4打席の安打は2対7でリードされた8回表、2死二、三塁の場面で1-1から投じられた抜け気味のスライダーを激しくセンターに打ち返した2点タイムリー。松井の絶対的な勝負球を、確実さを追求してセンターから右方向に打っているところが素晴らしい。

【次ページ】 済美の安楽、報徳学園の乾ら、本格派投手にも注目。

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