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ごぼう抜きの走りを見せるランナーは?
箱根駅伝で絶対に見逃せない選手達。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2012/12/25 10:30
出雲全日本大学選抜駅伝で優勝した際の青学大のメンバー。
復路9区にエースを投入する駒澤は区間新で首位に?
● 窪田忍(駒澤大学)
この1年で、本当に強くなった選手である。
1年生の時は7区、前回は9区で区間賞。今シーズンに入って、全日本大学駅伝の最終区で逆転して優勝の立役者になった。大迫と同じ3年生で、対抗心も強い。
大迫のスピードに比べると、窪田の強さは失敗しないことにあると思う。たとえば、前回は東洋大に大差をつけられ、総合優勝は諦めなければならない状況でタスキを受けた。しかし窪田は目標を区間新記録をマークすることに切り替え、淡々と自分の仕事をこなした。
昨今、想定外の位置でタスキをもらうと慌ててしまう選手が多い中で、自信がなければできないことだ。
駒大の場合、過去の例からいっても復路にエースを持ってくる場合が多く、窪田は9区での起用が予想される。この区間で窪田の力で首位交代――そうしたことも十分に考えられるのだ。
出雲駅伝優勝の青山学院は、鳴り物入りのルーキーに注目。
● 久保田和真(青山学院大)
注目のルーキーである。
全日本大学駅伝で駒大に優勝を引き寄せたのが窪田なら、出雲駅伝で青山学院大の優勝をたぐり寄せたのが、3区を走ってトップに立った、この1年生の久保田だったからだ。
熊本・九州学院から鳴り物入りで入部、シーズン前半はケガで出遅れたものの、秋に入ってから実力を発揮しだした。
青学の久保田の強みもまた、自信があること。
「青学には出岐さんというエースがいますが、自分も実力をつけて出来ることなら2区を走りたいです」
とハッキリ口に出して言える度胸がある。
一般的に1年生は練習の積み上げ期間が短いので、20キロ以上の長丁場には不安がのこるとされる。しかし原監督は、
「秋から練習でも長い距離も走れるようになってきて、心配要らないと思うよ」
と話している。
涼しげな顔で先行するランナーを抜いていく久保田の姿が見られるかもしれない。
次回はエントリーを受けて、レース展開を予想しながら見どころを紹介していく予定である。
今年の冬はノロウィルスが流行しており、各校とも体調管理に気を使っている。実際、過去にはノロウィルスの集団感染で実力を発揮できなかった学校もあった。衛生面での管理能力も問われる年末なのだ。