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もはやサッカーマイナー国ではない!
プレミアを席巻するベルギーブーム。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/11/23 08:02

もはやサッカーマイナー国ではない!プレミアを席巻するベルギーブーム。<Number Web> photograph by AFLO

今夏、チェルシーに4000万ユーロで加入したアザール。リーグ序盤の勢いは影を潜めているものの、12節終了時点で、全試合に出場し、3得点5アシストを挙げ、ベルギーブームの象徴的存在となっている。

 11月前半のプレミアリーグでは、マンチェスター・ユナイテッドが首位に浮上した。10日のアストン・ビラ戦では、0対2から逆転。勝利の立役者は、チームの全3得点に絡んだハビエル・エルナンデスだった。

 しかし、アストン・ビラにも、マンUの「スーパーサブ」に勝るとも劣らぬインパクトを見せた選手がいる。1トップで先発し、2得点に絡んだクリスティアン・ベンテケだ。相手CBを軽く弾き飛ばしての、先制点アシスト。追加点につながった、クレバーな股下スルー。力と技を披露したベンテケは、両軍先発メンバーの中で最高の出来を示し、観衆は改めて、「ベルギー人勢力ここにあり」と思い知らされた。

 今季のプレミアリーグは、異例の“ベルギー・ブーム”だ。

 欧州サッカー界ではマイナー扱いされてきた小国の選手たちが、イングランド全土で輝きを放っている。

 開幕節からして強烈だった。ロンドンでは、アーセナルとのアウェイゲームで、サンダーランドのGKシモン・ミノレが、“クリーンシート(無失点)”を実現して1ポイント奪取に貢献。中部では、ホームでリバプールを下したWBAで、ロメル・ルカクがデビューゴールを決めた。その19歳の「ドログバ2世」をWBAにレンタルしたチェルシーは、新プレーメイカーのエデン・アザールが、2得点をお膳立てして、敵地でウィガンに順当勝ち。同じ北西部では、ターゲットマンとしてマンU守備陣を苦しめたマルアヌ・フェライニが、決勝点を上げてエバートンに金星をもたらした。

10名を超すベルギー人選手の大半は主力クラス。

 過去にも、ベルギー人の加入が続いた時期はあった。'90年代後半からの数年間だ。しかし、アストン・ビラにやってきたリュック・ニリスは、既に30代で峠を越えていた。同じFWのジル・デ・ビルデは28歳でシェフィールド・ウェンズデーにやって来たが、チームの2部降格を防げなかった。以後、プレミアにおけるベルギー色と言えば、スタジアム周辺の露店で売られているグッズぐらい。ホームチームのユニフォームを着た「小便小僧」が、ライバルチームのユニフォームに、おしっこをかけている絵柄のTシャツだ。

 ところが今季、プレミア勢の契約下にあるベルギー人選手は優に10名を超える。しかも、大半がチームの主力だ。

 マンチェスター・シティに、キャプテンで最終ラインのリーダーでもある、バンサン・コンパニは欠かせない。アーセナルでは、トーマス・ベルメーレンが同じ立場にある。攻撃陣でも、ムサ・デンベレが、新たなキーマンとなるべく、トッテナムに移籍した。中央もトップ下もこなすMFは、昨季まで所属のフルアムで、ベテランのマルティン・ヨル監督をして、「ボール捌きは過去に見た選手の中でも最高」といわしめた。エバートンに加入したケビン・ミララスは、ストライカー兼ウィンガーとして、チームのダイレクトな攻撃に勢いを与えている。

【次ページ】 EURO、W杯の惨敗が「10年目の果実」を作りあげた。

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