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“爆発的な選手”には“正しい休息”を。
オランダ発の新トレーニング理論とは? 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2012/09/11 10:30

“爆発的な選手”には“正しい休息”を。オランダ発の新トレーニング理論とは?<Number Web> photograph by AFLO

今夏、イギリス代表としてロンドン五輪にも出場したウェールズ出身のクレイグ・ベラミー。サイドから快足を活かしたドリブルで、ゴールへと向かっていくプレーが持ち味である。

速筋が多い「“爆発的な選手”には正しい休息が必要」。

 レイモンドは『インディビジュアル・ピリオダイゼーション』を行なう上で、次の3つの判断基準を設けた。

(1)速筋の量
(2)年齢
(3)ポジション

 まずは(1)の速筋の量から説明しよう。

 筋肉には瞬間的にエネルギーを生み出す速筋と、持続的にエネルギーを生み出す遅筋の2タイプがある。レイモンドは選手を観察し、速筋の割合が多い“爆発的な選手”は、練習量が多くなりすぎるとハムストリング(太腿裏の筋肉)のケガをしやすいことに気がついた。

「速筋繊維が多い選手は、疲労が溜まりやすい。私の見解では、そういう選手は疲労している中でスプリントしたり、オーバーワークになるとハムストリングを痛めるリスクが高くなる。“爆発的な選手”には正しい休息が必要です」

元マンCのベラミーは練習量を抑えて故障知らずに。

 すでにこの試みで復活した選手がいる。ウェールズ代表のFWベラミーだ。イギリスにおいてベラミーは「最もケガの多い選手」と呼ばれており、レイモンドと会う前まで、プロにおける最多連続出場は15試合にすぎなかった。

 だが、2009年、レイモンドがマンチェスター・シティのコンディショニング改革を託されたことですべてが一変する。

 レイモンドはこう振り返る。

「私はベラミーを一目見て、速筋タイプの選手だと思いました。だからケガが多いのだと。本人と話し合って、次のことを決めました。ベラミーの練習は多くても1日に1回。フィジカルトレーニングは半分の量にする。この結果、ベラミーは2012年までの3年間、まだ1度も大きなケガをしていません。120試合以上も連続で出場しているんです」

 ベラミーはマンチェスター・シティの監督に就任したマンチーニと衝突し、昨季はリバプール、今季はイングランド2部のカーディフでプレーしているが、33歳になってもまだパワフルなプレーは衰えない。レイモンドの新理論が、このウェールズのスターを救ったのだ。

【次ページ】 年齢、ポジションによっても練習量を調整する。

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