ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
トゥーロンの初戦はビビって完敗!?
関塚ジャパンは海外・国内組に格差。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byMEXSPORT/AFLO
posted2012/05/24 12:00
上背に勝るトルコ代表選手に対し、激しい当りで互角に競り合った大津祐樹。海外組のアグレッシブなプレーは関塚ジャパンの起爆剤となるか?
フィジカルコンタクトを避け、焦りでミスを連発し……。
いつもはボールを保持する姿が目立つ東慶悟は、フィジカルコンタクトを避けるようにプレーし、ほとんど目立たなかった。山本康裕とセンターバック2人も単純なパスミスを繰り返した。あわてずにプレーすれば良いのだが、相手の勢いに焦り、慌てて蹴ってミスをする……その繰り返しだったのである。
水沼宏太も、それが敗戦の原因のひとつであるということを認識していた。
「このチームで国際大会を戦うことは少ないですからね。欧州だったり、球際に激しく来るチームとかにビビるというわけじゃないですけど、セカンドボールへの球際や出足の遅さが出ていたのも確かで。そういう差が勝敗に出たのかなと思います」
水沼の言葉にあるように、この世代の日本の選手たちは世界という舞台で欧州のチームと戦った経験がほとんどない。彼らはアジアユースで敗れ、U-20W杯を経験していない世代なのだ。それゆえ、欧州の選手に対する免疫がほとんどなく、アジアで経験したことのない当たりの凄さに面食らってしまった。それが腰の引けたようなプレーになって、こんな時期に露呈してしまったのだ。
ゴールへの意欲という点で、海外組と国内組とでは大きな差が。
海外組と国内組の間にもうひとつ違いが表れたのは、ゴールへの意欲だった。
大迫勇也も当然ゴールを狙っていただろうが、とにかくトラップミスが多く、強引にでも打つという意欲が感じられなかった。東もフィニッシュに絡むシーンが少なかった。
一方、後半になって攻める気に溢れる齋藤学が入り、さらに指宿洋史と高木善朗が入って前線に海外組が増えてくると、彼らに引きずられるようにプレーにアグレッシブさが戻ってきた。
大津は言う。
「相手にビビっていては何も生まれない。自分の役割が何かを考えないと。役割がゴールを狙うことであれば、それで結果を出さないとドイツでは次からは使ってもらえない。だから海外組はアグレッシブに行くんだと思う」
国内組にとっても、この大会は本大会の出場メンバーを決める最終選考の場として非常に重要なはずである。相手の勢いにビビって前に出れないというのであれば当然、本大会メンバー18名の枠には入れない。そのことは当然、理解していると思われるのだが……。
それでも収穫がなかったわけではない。