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W杯最終予選直前に改めて認識した、
9カ月ぶり復帰の“本田効果”とは? 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byMiki Fukano

posted2012/05/24 12:20

W杯最終予選直前に改めて認識した、9カ月ぶり復帰の“本田効果”とは?<Number Web> photograph by Miki Fukano

シーズンオフのためコンディション面が心配された欧州組の選手たちだったが、溌剌としたプレーを披露。宮市亮、酒井宏樹、高橋秀人(写真右)らA代表デビューを飾った新戦力もそれぞれの特長を発揮し、ザッケローニ監督の期待に応えた。

 ザックジャパンにとって「本田圭佑」という存在が、戦術的かつ精神的に、どれほど欠かせないピースであるかあらためて再認識させられた静岡の夜だった。

 苦しんできたケガとの戦いを終えて約9カ月ぶりとなる代表戦。その圧倒的な存在感は「居なくて知る」よりも「居てこそ分かる」と言ったほうがいいだろうか。

 アゼルバイジャンはFIFAランク109位といっても決して簡単な相手ではなかった。欧州で揉まれているチームであり、屈強な体の強さを押し出してくる守備に日本がもっと手を焼いてもおかしくはなかった。突破口は中央でのせめぎ合い。指定席である4-2-3-1のトップ下に入った本田が相手のプレッシャーに屈せず、戦う姿勢を前面に押し出し、ボールを収めたうえでパスをさばいて攻撃のリズムを生み出したことが勝利を呼び込んだと言っていい。

「中盤の中央で数的優位をつくれたことが大きかった。ここでタメが生まれることで、香川真司と岡崎慎司が前のポジションで集中できるようになった。中盤で主導権を握れたと思うし、いいリズム、いいスピードでボールを動かせた。特に縦や斜めにボールを動かすこともできたし、中盤での素早いパスワークによってサイドでの数的優位もつくれていたように思う」

 アルベルト・ザッケローニ監督も試合後“本田効果”をこう口にした。

長谷部、本田、香川らのイメージの共有が生んだ先制点。

 前半43分、香川の先制点も「本田経由」であった。

 自陣からのカウンター。センターサークル付近でボールを受けた本田が、相手のスライディングタックルをかわして長谷部誠にワンツーでつなぎ、そこから左サイドの裏に抜け出した香川にボールが渡ってゴールに至ったものだ。真っ先に褒めるべきは香川のシュートテクニックではあるものの、長谷部誠と本田、そして前線の香川たちの間で、カウンターのイメージがしっかり共有できていた。

 日本の流れが良くなったのは前半の中盤以降。ボールを奪われない本田がキープして前を向き、相手を引きつけることでサイドにスペースが生まれるようになった。香川は2月のウズベキスタン戦ではトップ下ながら中盤の低い位置まで下がってプレーすることも多かったが、この日はサイドに張って“使われる側”に回った。そのことで意識をゴールに向けることができていた。

【次ページ】 自らの持ち味を見せた、宮市らA代表デビューの新戦力。

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