プロ野球亭日乗BACK NUMBER
つまづきの原因は「2番打者」だけ!?
巨人打線復調の鍵はV9時代にあり。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2012/04/14 08:00
31イニング連続無得点に3試合連続完封負けと、球団ワースト記録に並ぶほどの貧打に陥っていた原巨人。思いきった采配が望まれるところである。
誰が特別に悪かったわけではない。相対的な打撃不振ということだ。
ただ、あえて一つだけ原因を挙げるとすれば「2番打者」だったのではないか、と思う。
開幕から不振を極めた巨人打線だ。
オープン戦で好成績を残したジョン・ボウカー外野手を2番に起用した今年の巨人の開幕オーダー。その起用の狙いを岡崎郁ヘッドコーチはこう説明していた。
「ボウカーの2番が、バントができてというこれまでの2番らしい2番かというとちょっと違うかもしれない。でも、右方向に進塁打も打てるし、バントもできないことはない。何より一番の狙いは1、2番で出塁率を上げていこうという部分にあるでしょう」
要は出塁率が4割近い1番打者がいれば、2番の役割は「つなぎ」でいい。送りバントやエンドラン、進塁打と状況に応じてケースバッティングができる器用な打者を起用する。まあ、それが日本の野球では当たり前のオーダー編成ということになるわけだ。
ボウカーの攻撃力を期待しての2番での起用だったが……。
ただ、今年のオープン戦を見る限りでは、そこまで1番の坂本勇人に信頼感がおけなかったということなのだろう。
だから1番がダメなら2番に安打や四球を期待できる打者を起用する。1、2番をセットで考えて、そのどちらかが塁に出ることを期待する。そしてもし、坂本が先頭打者で出塁すればボウカーが右方向に引っ張ってあわよくば無死一、三塁、悪くても1死二塁でクリーンアップのお膳立てをする。
そういう考えだ。
もちろんこの攻撃型1、2番というのはある。メジャーでもそれこそ若き日のAロッド(アレックス・ロドリゲス)がシアトル・マリナーズで2番を打ち、昨年もニューヨーク・ヤンキースでは昨年41本塁打を放ったカーティス・グランダーソンが2番を打った。
また、巨人でもかつて仁志敏久、清水崇行(隆行)という攻撃型1、2番コンビで成功したこともあったし、このオーダーが決ったときの打線の破壊力は大幅にアップするのも確かだ。
そういう2番こそが、ボウカー起用の狙いだったというわけだ。