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順風満帆に見えるシャルケに火種!?
EL制覇に必要なラウールのドラマ性。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/03/23 10:30
EL決勝トーナメント2回戦セカンドレグ、シャルケはホームでトゥベンテに4-1と快勝し、ベスト8に進出した。
シャルケとカップ戦は切っても切り離せないのかもしれない。
昨季のドイツカップで優勝を果たし、チャンピオンズリーグ(CL)でクラブ史上初のベスト4に到達したのに続き、シャルケは今季のヨーロッパリーグ(EL)でもベスト8に駒を進めた。
FWフンテラールはすでに9ゴールをあげ、現在(最新節の3月15日現在)のところELの得点王だ。オランダ人ストライカーとの契約延長に向けて、シャルケは3年で総額2100万ユーロ(約23億円)とも呼ばれる大型契約を用意しているという。フンテラールも、故郷オランダから通勤できるという地の利も含めて、シャルケでの生活に満足しており、契約延長に前向きのようだ。
さらに現在のステフェンス監督のキャリアのハイライトは、1997年にシャルケの監督としてELの前身であるUEFAカップを獲得したことだ。あのタイトルがあったからこそ、ファンはこのオランダ人指揮官を受け入れている。
2年連続のタイトル獲得に向けて順風満帆であるかに見えるシャルケの今シーズンだが、実際のところはそうでもない。
一貫した起用方針を示さない監督に選手の不満が噴出。
まず挙げるべきは、一部の選手が監督の方針に不満を抱えているという事実だ。
3月8日に行なわれたELトゥべンテ戦のファーストレグのあと、この試合で起用されなかったフラードが不満を爆発させた。
「監督は『君は大事な選手なんだ』とか言うくせに、俺が試合終了時まで起用されることはほとんどない。言っていることと、実際にやることが違うんだよ。監督に騙されている気分だね」
確かに、ステフェンス監督の起用法には疑問が残ることが多い。メンバーを固定せず、頻繁にスターティングメンバーを入れ替える。誰にでもチャンスを与えるという側面があるが、裏を返せば選手を信頼していない感は否めない。
「今日の君のプレーは良かったけど、他の選手を試したい」
「君にはまたチャンスが来る」
選手に交代を命じるとき、あるいは、選手をスタメンから外すときに投げかけるそんな台詞が抽象的だったり、あいまいであったりするため、言葉に重みがないのだ。言葉を失った監督に魅力はない。
フラードだけではなく、ファルファンなども起用に疑問を抱えているという。これはなかなか根の深い問題で、簡単に解決する方法が見つかるとは思えない。