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順風満帆に見えるシャルケに火種!?
EL制覇に必要なラウールのドラマ性。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/03/23 10:30
EL決勝トーナメント2回戦セカンドレグ、シャルケはホームでトゥベンテに4-1と快勝し、ベスト8に進出した。
ビルバオ有利の下馬評を覆す、ラウールの“ドラマ性”。
果たして、3月29日から始まるシャルケの準々決勝の相手はスペインのアスレティック・ビルバオに決まった。ビエルサ監督に率いられて、かの地で旋風を巻き起こそうとしているチームだ。ファーストレグはシャルケのホームであるゲルゼンキルヘンで、セカンドレグをビルバオで行なう日程になっている。下馬評は、ビルバオ有利で動かない。
さらに、世の中のサッカーファンであれば、ビルバオがどこまで行けるのかみてみたいと思う人の数のほうが多いだろう。チームとしての完成度ではなくて個の力で勝ち進んできたシャルケに対して、ビエルサが作り上げた機能美を持つビルバオ。美しさを比べれば、シャルケは大きく見劣りする。
そんな中、シャルケが訴えかけるのものがあるとすれば、ドラマ性か。
そのドキュメンタリー番組が、日本の航空会社の機内TVプログラムでも流されるほどの男がいる。ラウール・ゴンサレス。レアル・マドリー時代にはEL(と前身のUEFAカップ)に縁のなかった彼は、今回どんなドラマを見せてくれるのか……。
今季開幕前、あるメディアがラウールともあろう選手がCLではなくELに挑むことを余儀なくされたことについて、その当人に意見を求めていた。英語のミスターにあたる「セニョール」という敬称をつけて名前を呼ばれるスペイン人FWは、その時こう答えていた。
「いろんなタイトルをとってきたけど、僕はね、ELのタイトルをとったことがないんだ。だから、それに挑戦できるのが楽しみなんだ」
チームのカリスマは、いつも殊勝なコメントを発表しながら、結果を残してきた。今回は、どうなるだろうか。