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順風満帆に見えるシャルケに火種!?
EL制覇に必要なラウールのドラマ性。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/03/23 10:30
EL決勝トーナメント2回戦セカンドレグ、シャルケはホームでトゥベンテに4-1と快勝し、ベスト8に進出した。
浮き足立つチームをまとめるにはELの優勝が必要だ。
ここまで挙げてきたように、シャルケの前には少なくない不安要素が立ちはだかっている。ただ考えようによっては、そうしたものをELでのこれからの戦い方次第で吹き飛ばせる可能性もある。
3月以降、スタメンに復帰している内田のコメントも、少しずつ変化してきた。トゥべンテを下して、ベスト8入りを決めた後、こう語っている。
「まぁ、ここからかな。CLのときもそうだったけど、ベスト16とかベスト8くらいから(選手たちの意識が)違ってくるから」
監督に不満を抱える選手がいて、他クラブへの移籍を画策する選手がいる。選手たちの見据える方向は、ともすればバラバラになりがちだ。そんなチームをまとめるためには、強力なモチベーションが必要。ドルトムントとバイエルンがともに失速することは考えづらいので、リーグ優勝は現実味がない。今の彼らを強くまとめる目標があるとすれば、ELのタイトルではないだろうか。CLよりもレベルも注目度も劣るこの大会だが、頂点がかすかに見えてきたことで、選手たちの目の色も変わってきている。
ELの成績次第で来季以降のCLのシード枠がより有利に。
それに実はこの大会、重要な意味も持っている。
「それはわかっていても、あんまり意識することはない」と内田が語るように、選手たちの心を刺激するものではないが、クラブとファンの未来にとっては大きな意味がある。
それは、UEFAの選定するクラブ別ランキングだ。
現在、シャルケはドイツのクラブとしてはバイエルンに次ぎ2番目となる20位に入っている。このランキングは、各クラブの過去5シーズンにおけるCLやELでの成績によって付与されるポイントによって決められる。そして、このランキングがCLやELの抽選の際のシード権(実際には、『ポット』という表現が用いられる)にかかわってくるのだ。
例えば、来季のCLに出場すると仮定すると、グループリーグの数が8つだから、全体の16位以上に入っておけば、確実に第2シードに選出される。つまり現在よりも順位を4つあげれば、強豪クラブとの対戦を避けられる可能性が高まる。必然的に、決勝トーナメント進出の可能性も高まることになるのだ。