Jリーグ観察記BACK NUMBER
Jリーグが進歩するために学ぶべき、
世界最高のコンディショニング理論。
~【第2回】 PTPの2つの基本認識~
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byJ-Dream
posted2012/01/02 08:01
ヒディンクの右腕として、2002年韓国代表の肉体改造に取り組んだレイモンド・フェルハイエン。今回、サッカーを通じたオランダと日本の国際交流に努める『J-Dream』主催で行なわれたセミナーの講師として来日。来年も今回同様のイントロダクションセミナーと、今回の参加者を対象としたアドバンスセミナーを開催予定だという
「爆発力の持続」はオーバーロード状態から鍛える。
次に(2)の「爆発力の持続」能力を鍛えるためには、逆に休息を短く設定する。もうスプリントをできない……というぎりぎりのオーバーロードの状況を作り、爆発力の持続力を高めるためだ。
15m×6本のフットボールスプリントを10秒の休みをはさんで行い、それを1セットとする。4分間の休息を取って、もう1セット繰り返す。計2セットということだ。そして、能力の上昇に応じて、本数とセット数を増やしていく(最終的には15m×10本を4セット)。
プレーの一瞬の爆発性というのは、時間も空間も限られるようになった現代サッカーにおいて、極めて重要な要素になっている。レイモンドはこの能力を6週間というスパンを一周期として計画的に鍛えることで、技術面、戦術面とは違う角度から選手の質を高めることに成功している。
では、爆発力を上げてxをXにできたとしたら、次にどうやってXの数を増やし(3)、それを90分間持続できるのか(4)?
最終回となる次回、回復力をアップさせるためのトレーニングについて説明したい。
レイモンド・フェルハイエンRaymond Verheijen
1971年11月23日アムステルダム生まれ。10代の頃はプロのサッカー選手を目指すが、怪我で断念。後に、サッカーのトレーニング理論・医療研究で有名なアムステルダム自由大学、リバプール・ジョン・ムーア大学で学ぶ。オランダに帰国後は、母校及び王立オランダサッカー協会で研究を続け、その成果は『ネイチャー』誌にも発表された。90年代後半には、EURO2000に向けてオランダ代表チームのフランク・ライカールト監督の下で、サッカーの「ピリオダイゼーション」を指導。以降、韓国(W杯ベスト4)、ロシア(EUROベスト4)、ウェールズなどの代表チーム、クラブではバルセロナ(欧州CL優勝)やゼニト(UEFAカップ優勝)でその手腕を発揮。2008年には「レイモンド・フェルハイエン・コーチング」という会社を設立し、「ピリオダイゼーション」を世界中で指導し続けている。