Jリーグ観察記BACK NUMBER
Jリーグが進歩するために学ぶべき、
世界最高のコンディショニング理論。
~【第1回】 バルサも採用するPTP~
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byJ-Dream
posted2012/01/01 08:01
ヒディンクの右腕として、2002年韓国代表の肉体改造に取り組んだレイモンド・フェルハイエン。今回、サッカーを通じたオランダと日本の国際交流に努める『J-Dream』主催で行なわれたセミナーの講師として来日。来年も今回同様のイントロダクションセミナーと、今回の参加者を対象としたアドバンスセミナーを開催予定だという
課題はたったひとつです。
「どうすれば90分間を通してハイテンポなプレーができるのか?」
いつもの切り口とはちょっと違う、戦術やテクニックに先立つ「フィジカル」そのものに注目した特別解説です。このコラムを読めば……もしかするとサッカーの見方が変わるかも!?
サッカーの試合において、チームのパフォーマンスが低下してしまうのには、大きく分けて2つの理由がある。
ひとつは「疲労で選手が動けない」ということ。試合の終盤によく見られる現象で、攻撃から守備の切り替えの場面で戻れなくなったり、プレスをかけに行くべきときに足が止まってしまうということが起こる。こういう選手が増えると、もはやチームの組織はズタズタだ。
もうひとつは「体力をセーブして選手が動かない」。試合の前半によく見られ、90分間のペース配分を重視しすぎるがゆえに、立ち上がりのテンポが遅くなってしまう。
これは世界中のチームに共通する課題であり、もちろんJリーグも例外ではない。下位のチームが前半はものすごく積極的にプレスをかけていたのに、終盤にガクッと動きが落ちて失点してしまう。一方、上位のチームが「後半に勝負する」という意識が強すぎて、前半が停滞してしまう……という試合は、Jリーグでもよく見かけることだろう。90分間を通してハイテンポを続けられるチームがもっと増えれば、より試合がダイナミカルになるはずだ。
いったいどうすれば、この問題を改善できるだろうか?
そのヒントになりそうなコンディショニング理論がある。オランダ人のレイモンド・フェルハイエンが提唱するサッカーの「ピリオダイゼーション」だ。
レイモンドは世界最高のコンディショニングコーチと言われ、これまでヒディンク、ライカールト、ファンバステンの右腕として、オランダ代表、韓国代表、ロシア代表、バルセロナ、チェルシーなどの躍進を陰で支えてきた。