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Jリーグが進歩するために学ぶべき、
世界最高のコンディショニング理論。
~【第3回】 PTPのメニューと実践~ 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2012/01/03 08:00

Jリーグが進歩するために学ぶべき、世界最高のコンディショニング理論。~【第3回】 PTPのメニューと実践~<Number Web> photograph by J-Dream

ヒディンクの右腕として、2002年韓国代表の肉体改造に取り組んだレイモンド・フェルハイエン。今回、サッカーを通じたオランダと日本の国際交流に努める『J-Dream』主催で行なわれたセミナーの講師として来日。来年も今回同様のイントロダクションセミナーと、今回の参加者を対象としたアドバンスセミナーを開催予定だという

【第1回】  【第2回】  【第3回】

 この短期連載の第1回において、「どうすれば、ハイテンポなサッカーを90分間続けられるか?」という問いを投げかけた。その答えを、今回は解き明かしていこう。

 何度も書いてきたように、100%を少しだけ越えたオーバーロードの状態でトレーニングするのが、レイモンド理論の基礎だ。これは4対4や11対11のゲーム形式のトレーニングにもあてはまる。そして、その練習こそが、「アクションの頻度」(=回復力)を鍛えるのにうってつけなのだ。

 参考までに前回までのおさらいとして、レイモンド理論の4つの基本をあらためて書いておきたい。

(1)爆発力の向上
(2)爆発力の持続
(3)アクションの頻度の向上 (=回復力の向上)
(4)アクションの頻度の持続 (=回復力の持続)

 (1)と(2)の練習法は前回すでに紹介したので、(3)から入ろう。結論から言うと、「アクションの頻度」を向上させるには、4対4や3対3といった少人数のゲームが最もふさわしい。4対4なら1分間のアクションの数は12~13回にもなり、高い頻度を体に覚えさせられるからだ。

 具体的には、4対4(もしくは3対3)の1分間のミニゲームを、3分の休憩をはさんで6本行なう。これを1セットとし、4分間休んで、次のセットへ。能力のアップに応じて段階的に強度を上げていき、最終的には3分間のミニゲームを、1分間の休憩をはさんで6本やるところまで持っていく。まるでボクシングのような、かなり負荷がかかったハイテンポな練習だ。これに取り組むことで、短時間にたくさんのアクションを起こせるようになる。

短時間の疲労回復により「アクションの頻度」を上げる。

 立ち上がりの出来に難のあったロシア代表が、ユーロ2008でキックオフからフルパワーで戦えたのは、このトレーニングによって「アクションの頻度」が改善したからだった。

 生理学的に言えば、この練習は回復時間の速さを鍛えるものだ。

 レイモンドは言う。

「サッカーのアクションでは、酸素を取り入れている余裕はないから、筋肉内に溜め込まれた物質が使われる。回復とは、再びその物質を筋肉内に溜め込むこと。この機能を鍛えることで、回復時間が速くなり、短時間に何度もアクションを起こせるようになる」

【次ページ】 体力の限界を超えてから始まるトレーニングとは?

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レイモンド・フェルハイエン
フース・ヒディンク

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