甲子園の風BACK NUMBER
日本文理、金沢など躍進の北信越勢。
甲子園の土を踏むのはどの高校?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/07/25 11:30
日米の12球団から40人を超えるスカウトが集まった釜田佳直(金沢)。177センチの身長ながら、最速152キロを誇る速球とキレの良いスライダーを中心に、チェンジアップ、カーブ、フォーク、ツーシーム、カットボールなど多彩な球種を持つ
金沢以上に攻撃陣で見るべき選手が多い遊学館。
攻撃力では金沢以上に遊学館がいい。1番谷口一平(2年・遊撃手)、3番小林恵大(2年・捕手)、4番山中将誉(投手&外野手)、5番長田祐哉(2年・外野手)、6番黒萩幸生(2年・投手&一塁手)と続く中軸の機動力と破壊力は北信越随一と言っていいだろう。
とくに谷口、小林、山中の3人は強力。谷口は3回戦の寺井戦で外角低め、内角高めという難しいコースの球をライトに引っ張って打点付きの犠牲フライ、右前打を打っている。
小林はグリップ位置を動かさず、さらに小さいバットの引きでも力強いトップを作るという高い技術力を見せつけ、第1打席で逆方向(レフト)への二塁打を放っている。捕手としてはバント処理で果敢な飛び出しと一塁送球を見せるなど、女房役としての役割を存分に果たしている。
投手陣は2年時から主力として大きな舞台を踏んでいる土倉将が安定している。特別すごい球があるわけではない。緩急の使い分けとコーナーワークに一日の長があり、打者を自分のペースに引き込むのが実にうまい。ここにサイドハンドの山中が加わり、質量とも金沢、星稜に負けない陣容が整った。
147キロvs.152キロの投手対決で、すでに全国レベルの石川県勢。
もう1校忘れてはならないのがその星稜で、26日に行われる金沢との準決勝は石川県内のみならず全国的な注目を集めている。
「全国的な注目」とは大げさな、と思われるかもしれない。しかし、星稜のエース・西川健太郎は3回戦の小松大谷戦でストレートがMAX147キロを計測し、スカウト陣をアッと言わせている。一方の釜田は同日・同球場の第2試合で152キロを記録。このレベルのストレートを持っている同士の準決勝戦は全国的にも珍しいと思うので、「全国的な」と表現した。
この3校をくらべると、投手力で金沢、攻撃力で遊学館が優り、星稜は攻守とも少しずつ両校に遅れを取っている。その遅れを伝統の力で覆せるのか、注目したいと思っている。
福井県は、福井工大福井、福井商、敦賀気比による三つ巴。
福井勢は福井工大福井、福井商、敦賀気比による三つ巴が今年も見られそうだ。総合力では下級生のときから主力をまかされてきた吉田正尚(一塁手)、中尾優斗(外野手)、西川龍馬(2年・遊撃手)が主軸に座る敦賀気比が優っている。
投手力も2年のときよかった本格派の白崎航が控えに回り、2年生左腕の山本翔大が主力としてマウンドに上がる。これだけで陣容の豊富さが分かろうというもの。伝統の福井工大福井、福井商がどこまで迫れるか、26日以降の試合を楽しみにしたい。