甲子園の風BACK NUMBER
春の覇者・東海大相模の対抗馬は?
東京、千葉、山梨の予選は逸材揃い。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/07/21 10:30
高校球界で圧倒的な存在感を示す東海大甲府のショート、高橋周平。かつて、星稜高校時代の松井秀喜がそうだったように、勝負の場面では四球で避けられることも多い
今年の関東を代表する“顔”は高橋周平(東海大甲府・遊撃手)である。高校通算70本以上の本塁打を記録し、阪神、ヤクルトは早くも1位指名の可能性を示唆している。
走攻守のうち「走」に注目すると、4月29日の甲府昭和戦で2つの二盗を記録し、このときのスタートから二塁到達までのタイムが3.50秒と3.41秒。高校生レベルでは上位にくるタイムだ。2本のヒットを打ったときの一塁到達は4.60秒、4.65秒と並みだが、約1年前の関東大会、日大三戦では5.18秒と噴飯物の遅いタイムで走っているので、0.5秒分の進歩はしている(0.5秒は大きなタイム差)。
守りはショートとしては雑かもしれない。甲府昭和戦ではバウンドの合わせ方に迷いがあったし、(二盗防止の)二塁ベースカバーに入ったとき捕手のワンバウンド送球を後逸するシーンがあった。三塁手、あるいは地肩の強さを生かした外野転向のほうがバッティングに専念できると思う。
そのバッティングだが、「超高校級」と言われるにふさわしい。打球方向はセンターからライト中心。「おっつけて逆方向」が最近の高校球界では合い言葉のようになっているが、高橋は外角中心に攻められても、踏み込んでからの引っ張りを持ち味にしている。
不安要素は悪球打ち。7月17日の北杜戦では高め球に手を出し、日刊スポーツ紙は「(先制二塁打は)ボール2~3個分は高め」という高橋のコメントを紹介し、さらに「自分のゾーンならバットが届く限り振っていく」と言わせている。調子を崩すとしたら、このへんが引き金になりそうだ。
逸材の名前が多く並ぶ千葉。優勝候補は習志野か。
逸材探しをテーマにすれば、関東では千葉が最も注目県になる。ざっと逸材の名前を出していこう。
上沢直之 (投手・専大松戸) 4回戦敗退
森和樹 (投手・市立柏) 4回戦敗退
相内誠 (投手・千葉国際2年) 4回戦敗退
鈴木康平 (投手・千葉明徳) 2回戦敗退
地下嘉人 (外野手・東海大望洋) 2回戦敗退
既に敗退している逸材の名前が多く並ぶ。残っているのは泉澤涼太、大野駿(ともに習志野の投手。大野は2年)、川名健太郎(投手・安房)、菊地将太(投手・柏日体2年)くらいしかいない。甲子園の道のりの厳しさが身に沁みてわかる。
優勝候補にテーマを設定し直せば、習志野が最短距離に立っているのは一目瞭然。ともに勝ち進めば、準々決勝で当たる千葉経大付戦が優勝を占う上で重要になってくるだろう。