甲子園の風BACK NUMBER
日本文理、金沢など躍進の北信越勢。
甲子園の土を踏むのはどの高校?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/07/25 11:30
日米の12球団から40人を超えるスカウトが集まった釜田佳直(金沢)。177センチの身長ながら、最速152キロを誇る速球とキレの良いスライダーを中心に、チェンジアップ、カーブ、フォーク、ツーシーム、カットボールなど多彩な球種を持つ
松商学園の小さな巨人・熊谷優は甲子園で見たい素材。
北信越で唯一、甲子園大会で優勝しているのが長野勢だ('54年選抜大会の飯田長姫)。近年では'91年選抜でも松商学園が準優勝しているが、それ以降、春・夏合わせて18勝26敗と勝ち切れていない。今年はどうだろう。
最も可能性を感じさせるのが古豪・松商学園だ。選手権出場35回は全国最多を誇る。これが逆に言えば長野勢の新陳代謝のなさとも言えるのだが、今年の松商学園には2年生エースの熊谷優がいる。
丹生の田中を評して、上背のなさがフォームを少しずつ崩していると書いたが、熊谷は身長が172センチしかないのにフォームに崩れがない。
左肩上がりも左肩の早い開きもなく、あえて言えば右腕が背中のほうに入り気味なのと、横変化のスライダーを投げるとき腕の振りが横になるくらいである。
ストレートは推定136~7キロが低めにきれいに伸び、横変化のスライダーが超高校級と言ってもいいくらいよくキレる。フォームがいいので当然コントロールが安定し、バント処理などで見せるフィールディングや一塁カバーリングの動きも早い。甲子園のマウンドに立たせたい1人だ。