甲子園の風BACK NUMBER
春の覇者・東海大相模の対抗馬は?
東京、千葉、山梨の予選は逸材揃い。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/07/21 10:30
高校球界で圧倒的な存在感を示す東海大甲府のショート、高橋周平。かつて、星稜高校時代の松井秀喜がそうだったように、勝負の場面では四球で避けられることも多い
埼玉の浦和学院。実力的には全国クラスだが……。
埼玉勢も元気がない。
'06年以降、選手権での成績は1勝6敗と散々。県勢を牽引しなければいけない浦和学院に限ると'06~'08年にかけて3連敗している。甲子園での下馬評はけっして低くないのに、出ると負ける。こういう繰り返しが県勢の自信を喪失させているような気がしてならない。
今年の浦和学院も悪いメンバーではない。投手で1番をまかされている佐藤拓也(2年)がチームを引っ張り、打線は小林賢剛(遊撃手)、石橋司(2年・外野手)、笹川晃平(2年・外野手)が佐藤をアシスト。昨年秋の関東大会では千葉経大付、横浜、東海大相模を連破して優勝している。実力的には間違いなく全国クラスなのである。
浦和学院に続くのがキレのいい直曲球を持っている竹崎裕麻を擁する春日部共栄、走攻守を兼ね備える大塚健太朗がチームを牽引する花咲徳栄の2校。俺たちが突破口を開いて県勢の元気を取り戻す、そのくらいの気概がないと現在の閉塞感は取り払うことが難しい。
群馬は、高崎商の長身右腕、金井を迎え撃つ好打者が揃う。
栃木、群馬、茨城の北関東勢は好選手が揃っている。
栃木は塚田貴之(白鴎大足利)、福田龍太(矢板中央)という左右の本格派が2回戦で敗退しているが、白鴎大足利を撃破した宇都宮商には君島陸という好投手がいる。1回戦では優勝候補の呼び声高かった“6点打線”の大田原も完投で退けるなど、その評価は日増しに高くなっている。
群馬は192センチの長身右腕、金井和衛を擁する高崎商が注目されているが、それを打ち崩そうと虎視眈々と狙う好・強打者にも興味深い面子が並ぶ。たとえば前橋商の森澤翼(外野手)や松井大輝(遊撃手)、樹徳の本多純平(外野手)や根岸晃太郎(遊撃手)たちだ。
ここでは、樹徳のバッティングスタイルを取り上げてみたい。
5月14日に行われた関東大会の花咲徳栄戦、私は樹徳各打者のバッティングを見て驚いた。タイミングの取り方がほとんど一緒だったのだ。監督が独善的に進める“右ならえ式”の同一化はよくないことのほうが多いが、樹徳の場合は違った。