MLB Column from USABACK NUMBER
ポストシーズン本命のヤンキース、
いまだ抱える3つの不安材料。
text by
李啓充Kaechoong Lee
photograph byKYODO
posted2009/09/27 08:00
入団7年目の松井秀喜は初のチャンピオンリングを手にすることができるのだろうか。
95勝56敗と、メジャーベストの戦績を誇るヤンキース(以下、数字は9月21日現在)だが、ポストシーズンの体制は盤石かというと、必ずしもそうとは言い切れない。以下、ヤンキースが抱える三つの不安材料について説明しよう。
1)先発投手陣の不安。
ポストシーズンは先発投手4人でローテーションを組むのが普通だが、ヤンキースは、4人すべてに不安を抱えている。
*C・C・サバシア:例年8・9月に「負け知らず」の快投を披露することで知られているが、今季も、8月以降8勝0敗・防御率2.24と抜群の成績を誇っている。しかし、これまでポストシーズンには弱く、過去3回の出場では、2勝3敗・防御率7.92とふるわなかった。8・9月の好投が10月に持続しない傾向が指摘されているのである。
*A・J・バーネット:8・9月、1勝5敗・防御率5.60と調子を落としているだけでなく、配球を巡って女房役ホルヘ・ポサダに不満を抱いていると噂されている。
*アンディ・ペティート:9月に入り、肩の「疲労」を訴えたため、先発を一回飛ばさなければならなかった。37歳という年齢もあり、ポストシーズンに万全の体調で臨めるかどうかが懸念されている。
*ジョバ・チェンバレン:8・9月、1勝4敗・防御率8.25と絶不調。登板間隔を開けたり、投球回数を制限したりと、首脳陣が「酷使防止策」を採るようになってからリズムを崩してしまった(注)。
(注)将来のエースと期待された若手投手が酷使で潰された例としてはマーク・プライアーが有名であるが、プライアー以後、若い投手の投球数・投球イニング数を厳しく制限、「過保護」扱いするチームが増えている。
2)4番打者の不安。
2005-07年、3年間のポストシーズン(13試合)での成績「打率1割5分9厘、本塁打1、打点1、OPS5割3分9厘」が示すように、A-ロッドはプレッシャーに弱く、打線の「ブレーキ」役となってきた。ただ、今季の場合、新加入したマーク・テシェラがOPS9割4分8厘とMVPの最有力候補となる活躍をしているので、プレッシャーが減ることが期待されている。
3)対戦相手の不安。
地区決定戦はタイガースと当たることが予想されているが、ア・リーグからプレーオフに出場する4チーム中、一番戦力が劣るので、まず、取りこぼすことはないだろう。
問題は、リーグ決定戦に進出した場合の対戦相手だ。レッドソックスかエンゼルスのどちらかになると予想されているが、レッドソックスとなった場合、2002年以降ここまでポストシーズンも含めた通算成績は80勝82敗とほぼ互角である上、今季は6勝9敗と負け越している。