ベースボール・ダンディBACK NUMBER
数字上は日ハム有利で巨人不利!?
~主軸依存度で占う日本シリーズ~
text by
田端到Itaru Tabata
photograph byHideki Sugiyama
posted2009/10/28 13:30
過去、巨人vs.西武、阪神vs.ロッテはどうだったか?
たとえば昨季2008年。セ・リーグ優勝の巨人は得点631、ラミレス125打点、小笠原96打点で、主軸依存度35.0%のポイントゲッター型。対するパ・リーグ優勝の西武は得点715、中村101打点、ブラゼル87打点で、主軸依存度26.3%の分散攻撃型。
結果は西武の4勝3敗だった。
両チームの差がもっとも激しかったのは'05年だ。セ・リーグ優勝の阪神は、今岡と金本の打点が飛び抜け、主軸依存度37.2%のポイントゲッター型。パ・リーグ優勝のロッテは、ボビー・マジックと呼ばれた中心打者不在の打線で、主軸依存度わずか21.6%の分散攻撃型(打点上位は李とフランコ)。
結果はロッテの4勝0敗という圧勝に終わった。
特定の打者に頼らない打線が短期決戦に強いのは明らか。
ポイントゲッター型vs.分散攻撃型の日本シリーズ8度は、分散攻撃型の7勝1敗。しかも主軸依存度の低いチームほど、4勝0敗や4勝1敗という一方的な勝ち方をしていることもわかる。
特定の打者に頼らない打線がいかに短期決戦に強いか。これを「日本シリーズ・主軸依存度の法則」と呼ぶ。
ちなみに唯一の例外は'07年、分散攻撃型の日本ハムが中日に敗れた年だが、この年の日本ハムの主軸依存度は29.5%。きわめてポイントゲッター型に近い数字だった。
さらに補足すると、「分散攻撃型」vs.「分散攻撃型」の対決になった日本シリーズは'91年以降で7度あり、そのうち5度は4勝3敗という伯仲したシリーズが繰り広げられている。
「ポイントゲッター型」vs.「ポイントゲッター型」の日本シリーズは3度あり、すべて4勝1敗で決着している。
主軸に頼らないチーム同士が激突すれば4勝3敗になり、主軸に頼るチーム同士がぶつかればどっちが勝っても4勝1敗の大味なシリーズになる。
原巨人には真の意味での全員野球が求められる。
はたして原巨人はこの法則をくつがえすことができるだろうか。
小笠原やラミレスが打たなくても、クライマックスシリーズで見せたように日替わりヒーローが出現して、どこからでも点を取れる全員野球こそが今季の巨人の強さの秘訣である、という見方のほうが正しいのかもしれない。
日本一のチャンピオンフラッグを懸けた戦いは10月31日に始まる。