プレミアリーグの時間BACK NUMBER
真っ向勝負でバルサを撃破!
アーセナル流パスサッカーは本物か?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2011/03/05 08:01
バルサのエース・メッシ(右)とにらみあう、第1レグの決勝点をあげたアーセナル・アルシャビン。このふたりの活躍が、第2レグの勝敗の行方に直結する
『世界最強に勝った!』
CL16強第1レグでのアーセナル対バルセロナ(2-1)翌日、イングランドの各紙はセスク・ファブレガスの喜びの声を見出しに用いて、誇らしげにアーセナルの逆転勝利を報じた。
ただし、アーセナルのキャプテンでもあるセスクは、「第2レグでも結果を残さなければ意味がない」と付け加えることを忘れていない。アーセン・ベンゲル監督も、「バルセロナの優位は変らない」と謙虚だ。オフサイドの判定とシュートミスがなければ、リオネル・メッシによるダメージは1アシストでは済まなかったという事実もある。
それでも、打倒バルセロナが可能と見る向きは、国内で圧倒的に増えている。その理由は、今季のベンゲル監督が繰り返し口にしている「チームの成熟」を、世界最強クラブとの一戦で改めて確認することができたからだろう。
世界最強軍団相手に本来のスタイルで立ち向かった。
昨季のCL準々決勝での対戦では、2試合合計で3-6と力負けした。だが、今季のアーセナルは、バルセロナを相手にしても、戦術意識と集中力を保ったまま本来のスタイルを貫くことができるようになっている。
初戦では、最終ラインを押し上げ、高い位置でボールを奪って攻める戦い方を徹底した。
後方に退いて敵の攻撃を受け止めるだけの守備力を持たないチームであるため、これが唯一の防御策とも言える。だが、ポゼッションで勝るバルセロナを相手に高いラインを維持することは容易ではない。プレミアリーグでは、自分たちがボールを支配することに慣れている集団にとっては尚更だ。
しかし、アーセナルは怯まなかった。
DF陣の中央では、ローラン・コシエルニーが積極的なパスカットを見せ、長期欠場中のトマス・フェルメーレンの代役としてコンビを組むヨハン・ジュルーもライン制御に一役買った。その前方では、アレックス・ソングとジャック・ウィルシャーのボランチ2名はもちろん、攻撃陣もプレッシングでボール奪取を狙った。