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森保ジャパン「カタール大会PK戦の2つの敗因」をスポーツ心理学者が発見…日本代表「W杯優勝」への課題を浮き彫りにした“あるデータ”とは? 

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photograph byKiichi Matsumoto/JMPA

posted2025/04/26 11:05

森保ジャパン「カタール大会PK戦の2つの敗因」をスポーツ心理学者が発見…日本代表「W杯優勝」への課題を浮き彫りにした“あるデータ”とは?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/JMPA

日本代表が前回大会でPK戦に敗れたのは「運」だったのか? スポーツ心理学者が発見したPK戦勝者と敗者の明確な「違い」を解説する

《負けた側でも日本がこの方式を選んでいた。森保一監督は、明らかに蹴りたい者に名乗り出るよう求めていて、選手たちがためらっているのを見ると、両手を横に広げてみせた。誰も名乗り出ないことに不満を示したのか、もしくは誰でも蹴っていいんだぞというアピールなのか。あるいはその両方か。

 それから南野拓実が手を挙げて1番手のキッカーに決まり、ややあって三笘薫も同じ経緯で2番手となった。しかし、このチームの大御所二人のあとは、手を挙げる選手がなかなか現れず、誰も名乗り出ない気まずいムードのなか、チームメイトを推すかのように他の選手を指さす控え選手も現れた。

 そうやって、日本の場合は先の2チームと比べ、キッカーを募るアプローチにかなりの時間がかかり、スムーズさも欠いていた。その後のPK戦で、日本は南野と三笘、さらに吉田麻也が失敗し、成功は4人中1人に終わった。

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 大会後、日本では“挙手制”が大きな論争になり、森保監督が次は別のやり方で決めると宣言するまでになった。「責任が選手に及び、外せば心を痛める選手もいる。次は自分が決める」》

「挙手制」の問題

 ヨルデット氏は「キッカー挙手制」には批判的だ。素人考えでは、俺が決めてやる! という闘志を持った選手に立候補させればよさそうに思える。そして実際に、監督もそう考えるからこそ、多くのチームで挙手制が採用されるのだろう。

 しかしヨルデット氏は5つの理由を挙げて、挙手制がPKの成功率に及ぼす悪影響を分析している(詳しくはぜひ本書を手に取ってみてほしい)。前述の指示に時間がかかったこともかかわってくるわけだが、ことに日本の挙手制の失敗については「キッカー選びは戦力運用の問題というより、もっと深い心理的な問題に発展」してしまったと鋭く指摘されている。森保ジャパンは、W杯までにぜひともこの問題の解決策を見いだしておくべきだといえるだろう。

 そしてもうひとつ、カタール大会においてPK戦での選手マネジメントで日本が犯した決定的な“ミス”が、本書で明らかにされている——。

〈全2回の1回目/2回目につづく

#2に続く
カタールW杯PK戦で日本が使ってはいけなかった“あるもの”…森保ジャパンが知っておくべき「なぜ超一流選手がPKを外すのか」のプレッシャー心理学

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