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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
森保ジャパン「カタール大会PK戦の2つの敗因」をスポーツ心理学者が発見…日本代表「W杯優勝」への課題を浮き彫りにした“あるデータ”とは?
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2025/04/26 11:05

日本代表が前回大会でPK戦に敗れたのは「運」だったのか? スポーツ心理学者が発見したPK戦勝者と敗者の明確な「違い」を解説する
《カタール大会のPK戦に臨んだ監督10人(アルゼンチンとクロアチアは2度PK戦を戦ったため、延べ人数)が、指示を伝え終わるまでに要した時間を測定すると、ある傾向が非常にくっきり見えてくる。
かけた時間が短かったほうのチームがPK戦を制し、長かったほうが敗れているのだ。例外はなかった。その差は歴然で、勝った方の一番長く時間をかけたチーム(モロッコ)でも、負けた側の最も短かったチーム(フランス)を下回っていた。》
監督の指示が長かったほうのチームが全敗!?
クロアチアとPK戦を戦った日本も、相手より時間がかかっていた。クロアチアが120分の試合終了のホイッスルが鳴ってから110秒で指示を伝え終わったのに対して、日本は170秒をかけていたのだ。
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このデータを解釈すれば、選手にプランをすばやく知らせるチームは、PK戦に対する準備が周到だったといえるだろう。PKキッカーの選定と、キックや戦術に関する判断の多くを試合前に済ませておけば、PK戦になったときに簡潔に伝えやすいからだ。
物議を醸したキッカー選び
ヨルデット氏は指示が最も短かった優勝国アルゼンチンのマネジメントや、それがなぜ優れていたのかなどを分析していく。ここで気になるのが、キッカーの選び方だ。たいていの場合、監督はPK戦突入が決まると、その場で選手を集めて蹴りたい人間を募るやり方を採っている。
カタール大会でPK戦に2度勝ったクロアチア(日本戦、ブラジル戦)やスペインを破ったモロッコも、映像からは、選手に向けて希望者を募っていると思われる。ただ、選手がすぐに挙手したことからすると、彼らはあらかじめほぼキッカーを決めていたのかもしれない。
それに対して、大会後に物議をかもすことになった日本の様子はどうだったか。本書の描写を見てみよう。