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「納豆…最初ムリだった」ブラジル人がJリーグ最強FWになるまで「焼肉やラーメン好きに」「オカダさんとオシム、鹿島ではウチダが素晴らしかった」
text by

沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byToshiya Kondo
posted2025/04/18 17:01

鹿島アントラーズ時代のマルキーニョス。得点王、リーグ連覇など黄金時代の原動力となった
「まだ線が細かったけれど、スピードがあり、タイミングを見計らって正確なクロスを入れていた。根性もある。将来、きっと大変な選手になると思っていた」
――2008年はJリーグでいきなり5連勝。その後、手痛い黒星もあったが、終盤4試合を3勝1分で乗り切って連覇を成し遂げた。あなたは絶好調で21得点。得点王とMVP、ベストイレブンに輝きました。
「心身のコンディションがとても良かった。間違いなく、自分のキャリアで最高のシーズンだ」
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――2009年も序盤から順調に白星を重ねた。中盤以降、攻守のバランスが崩れて5連敗を喫するピンチもあったが、以後の6試合を5勝1分で乗り切って3連覇を達成しました。
「それまで築いてきた土台の上にFWオオサコ(大迫勇也)ら優秀な選手が加わり、円熟したチームになっていた。連敗した時期はさすがに少し慌てたけれど、強いメンタリティーで盛り返した。ただ2010年シーズン終了後、『チームの若返りを図る』と言われた。自分としてはあと2~3年、鹿島でプレーして引退し、その後はアカデミーなどで選手を指導したいと思っていた。それだけに、この通告はショックだった」
あの大災害に、プレーできる精神状態では…
鹿島を契約満了となったのは、34歳。キャリアを終えてもおかしくない年齢に差し掛かっていた。マルキーニョスは新天地に仙台を選んだが……。
「あの大災害に震えあがり、プレーできる精神状態ではなくなったんだ」〈つづく〉
