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「“不仲、干されて引退”は事実…じつは昔から」J外国人最多152ゴール名FWと“名将の確執”「あの件で気持ちが折れた」なぜブラジル人同士が?

posted2025/04/18 17:00

 
「“不仲、干されて引退”は事実…じつは昔から」J外国人最多152ゴール名FWと“名将の確執”「あの件で気持ちが折れた」なぜブラジル人同士が?<Number Web> photograph by Masashi Hara/Getty Images

ヴィッセル神戸時代のマルキーニョス。“あの名将”との確執が、引退の引き金となった

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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Jリーグ各クラブでゴールを量産し、愛され続けたブラジル人FWマルキーニョスに、現地ブラジルで現役時代の裏話と現在の暮らし、日本人選手への印象を聞いた。〈NumberWebインタビュー/全3回。第2回につづく〉

マルキーニョス48歳、今もアスリートのままだった

 2015年にシューズを脱いでから、ちょうど10年――。49歳となった今も、稀代の点取り屋マルキーニョスはアスリートのままだった。

 フットボール経験者である6歳下の弟と長年、フットバレー(ビーチバレーのコートで手以外の部分を使ってラリーをする。ブラジルが発祥でプロリーグもある)のチームを組む。自宅の敷地内に練習用のコートがあり、朝夕、練習を積んで国内各地を転戦。「交通費と出場フィーが支給される。大会で優勝すれば、賞金も出る」というから、セミプロだ。

 引き締まった体つき、両太もものボリュームは、現役時代と全く変わらない。本業は、3つの牧場(総面積が1700haで、東京ドームの363個分!)で2000頭もの牛を飼育する大牧場主だ。

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 センターフォワードとしては決して大柄ではないが、敏捷で、スペースへ走り込むのがうまく、屈強なDFと激しく競り合いながら貪欲にボールをゴールへ押し込んだ。ボールの落下地点を察知する能力に長けており、ジャンプ力が優れているので、空中戦にも強かった。強烈なミドルシュートも叩き込んだかと思えば、クロスをヒールで合わせたり、ジャンプボレーやバイシクルキックでゴールを陥れた。泥臭さと華麗さの両方を併せ持ち、得点パターンは極めて多彩。周りの選手を使うのもうまく、「彼と一緒にプレーした若手は成長する」と言われた。

 日本での15シーズンで、すべての大会を合計すると428試合に出場して199得点36アシスト。Jリーグでは、333試合で152得点。歴代6位で、外国人としては最多。1試合当たりの得点数0.456は、得点ランキングの上位5人(大久保嘉人、興梠慎三、佐藤寿人、中山雅史、前田遼一)を凌駕する。

鹿島時代に言い争いになった時から、しこりが

 Jリーグで偉大な実績を残したマルキーニョスだが――現役最後の所属クラブとなったヴィッセル神戸では同胞のブラジル人名将との確執によって困難な時期を過ごし、引退を決断したと明かす。

――あなたは2014年はヴィッセル神戸へ移籍し、34試合で14得点。しかし2015年、この年から采配を振るったネルシーニョ監督との不仲が伝えられ、このシーズン限りで退団しました。

「実は、ネルシーニョとは以前から軋轢があったんだ」

――と言いますと?

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