甲子園の風BACK NUMBER
“怪物候補の新2年生”最速152キロも「そっか、みたいな感じです」織田翔希だけでなく…155キロ腕攻略の横浜「心の余裕が」「球速は気にしない」
posted2025/03/29 17:01

横浜高校2年生の織田翔希。“松坂大輔2世”との一部報道もあるが、地に足のついた考えでマウンドに立っている
text by

間淳Jun Aida
photograph by
JIJI PRESS
勝つためには越えなければいけない高い壁。横浜は4回、健大高崎の先発・下重賢慎投手から1死二塁のチャンスをつくり、世代ナンバーワン投手をマウンドに引きずり出した。
甲子園に石垣元気投手の名前がコールされる。2点を追う健大高崎は、これ以上の失点が敗戦に直結すると判断した。横浜の打者はバットを短く持って、石垣に対峙する。しかし、8番、9番が連続三振に倒れて追加点を奪えなかった。
石垣に封じられれば、試合の流れが変わる可能性がある。横浜ナインは前夜のミーティングで村田浩明監督から伝えられた言葉を思い出していた。
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「横浜のプライドを持ちながら、プライドは捨てよう」
昨秋の神宮大会で優勝した横浜は、王者として今春のセンバツに臨んでいる。いわば、挑戦者たちを迎え撃つ立場にある。だが、この試合で対戦するのは今大会に最速155キロを記録した世代ナンバーワン投手の石垣。勝利を目指す上で、方向性の誤った個人的なプライドは邪魔になる。横浜の選手たちは長打やフルスイングを捨て、速球に力負けしないコンパクトなスイングを徹底した。
石垣の150キロ超にもひるまなかった
5回無死一塁から、2番・為永皓選手が内角の速球に詰まりながらもライト前に運んでチャンスを広げる。続く、3番・阿部葉太選手も152キロの速球をライトへ弾き返し、貴重な追加点を挙げた。
狙っていた速球を最初のスイングで捉え「長打はいらないので、つなぐ意識で打席に入りました。監督さんからもプライドは捨てようと言われていましたから」と振り返る。
無死満塁となって、5番・小野舜友選手も続く。初球をセンター前へ運んだ。狙いは、石垣の速球だった。