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「クボは“内気な日本人”から逸脱してる」MF久保建英にインタビューした仏専門誌が驚き「10番が好きなんだ」「次は世界最高の1人に」アツい本音
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/03/28 17:02

日本代表でもスペインでも存在感を放つ久保建英。昨夏、サッカーの権威的専門誌「フランス・フットボール」誌のインタビューに応じた
「ブラジルやアルゼンチンではたくさんの子供が街頭でサッカーをしている。彼らの究極の夢はW杯に優勝することだ。将来何になりたいかと100人の子供に尋ねたら、98人がサッカー選手と答えるだろう。でも日本で同じ質問をしても、サッカー選手と返答するのはたぶん3人ぐらいしかいない。若い世代の大半は、サッカーよりもビデオゲームを好む。そこが大きな違いで、ヨーロッパや南米のサッカーの歴史は日本やアジアのそれよりずっと長く濃密で比較にならない。ただそれでも、ときに大きな大会でサッカー大国を破ることもあるけど」
ではW杯ではサプライズを起こした日本が、アジアカップで敗れた原因はどこにあったのか。
「W杯でスペインやドイツと対戦したとき、日本はボールを保持できず守る以外になかった。だがアジアカップでは、日本が逆の立場に回る。つまり理論上は日本がゲームを支配しなければならないが、残念ながらまだそのレベルまで達していなかった。僕が代表でプレーするようになり5年がたつが、その間に日本はまだひとつもタイトルを獲ってはいない」
次は“世界最高の選手のひとり”に
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日本代表への思いも、シンプルかつストレートである。
「レアル・ソシエダで得られているほどの信頼を、代表では感じられない(注:あくまで2024年時点での言葉)。他の国々では、若い才能に大きな期待を寄せている。でも日本では、僕に何かを懸けるという雰囲気ではない。
ただ僕自身は、現在とてもいい状態にあり、代表でも大きな仕事が出来そうだと感じている。選手たちもテクニカルスタッフも、もっと僕に信頼を寄せて欲しい。そこから先は……国のために何か大きなタイトルを獲得出来たら……。そうなりたいと心から願っている」
昨季の彼は、リーガの年間最優秀選手候補10人に選ばれた。次なる目標は何であるのか。
「一歩ずつ進みたい。今はリーガ最優秀選手のひとりになることで、歩みを進めることができた。次は世界最高の選手のひとりになる。それにはアルグアシル監督が言うように、誰もが納得する数字を残すことだ。昨季は7得点しか挙げられなかった。これまでの最多は9ゴールで、その点でまだ物足りなさがある。最終的に残るのは数字だから、もっともっと伸ばせるようにしたい。そこが乗り越えられたら、新たな扉が開けるだろう」
「どこかのタケ・クボ」と言われる存在に
まだ遠い先ではあるが、キャリアの最後を迎えるときに、人々からどう呼ばれたいのだろうか。
「難しい質問だ(笑)。今、僕は『日本のメッシ』と呼ばれている。引退するときに、メッシと同じように才能ある世界の子供たちが『イタリアのタケ・クボ』や『インドのタケ・クボ』、『他にどんな国かわからないが……、どこかのタケ・クボ』と言われるような存在になりたい。それは人々が僕を記憶に留めることに他ならないし、僕が自分のやり方でサッカーに痕跡を残したことに他ならないのだから」〈つづく〉
