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「『壊された人もいるらしいよ』ってビビッていた(笑)」井上尚弥とのスパーで五輪代表・原田周大が学んだもの…ロス五輪へ「技術より気迫」 

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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photograph byTadashi Hosoda

posted2025/01/29 17:02

「『壊された人もいるらしいよ』ってビビッていた(笑)」井上尚弥とのスパーで五輪代表・原田周大が学んだもの…ロス五輪へ「技術より気迫」<Number Web> photograph by Tadashi Hosoda

パリ五輪で金メダルを目標に掲げたが準々決勝敗退した原田周大。井上とのスパーの経験を血肉としてロス五輪を目指す

大橋ジムからの誘いが

「『アマチュアボクシングを応援したい』と言っていただき、練習だけに集中できる環境をいただきました」

 昨年12月に岡澤セオン、片岡雷斗らとともに大橋ジム、NTTドコモの映像配信サービス「Lemino」とサポート契約を結び、経済面での支援も受ける。現在はアルバイトなどの仕事をすることもなく、ボクシングに打ち込める環境が整っているという。

 朝からロードワークに励み、夕方からは大橋ジムでトレーニング。世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥とスパーリングする機会にも恵まれた。大橋会長に打診されたときは「ぜひお願いします」と頭を下げたものの、内心はびくびくしていた。

モンスターと拳を交えて

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「周りからは冗談半分で『壊れた(ケガした)人もいるらしいよ』と脅かされ、正直、びびっていました。ボコボコにされる想像から入ったので、少しでもこの動き、このフェイントは通用したな、と思えたのは良かったですね。得意のジャブにあれほど合わせられたのは初めてでしたが、それも勉強。自分の弱みだけではなく、強みも確認できました」

 最初に手合わせしたときは、恐る恐る話しかけて貴重なアドバイスをもらった。

「『もっと自分の距離でボクシングをした方がいいよ。ジャブを打ちながら、距離を保つといいんじゃない』って」

 本音を言えば、2回目以降のスパーリングでも助言をもらいたかったが、ジム内の空気で察したという。試合前だったこともある。井上がバンテージを巻き終わると、ピリッとした緊張感が漂うのだ。練習に打ち込む集中力は、いまだ見たことがないものだった。スパーリングを通して学んだのは技術面だけではない。

【次ページ】 井上の競技への姿勢を学んだ

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