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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「あれ、おかしいな…体が動かない」箱根駅伝“山の神”に抜かれたランナーの悲劇…東洋大・期待の1年生がまさかの大失速、なぜ起きた?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKYODO
posted2025/01/09 17:19
第83回大会で1年生ながら「5区」を任された東洋大・釜石慶太(右)。2位で襷を受け取ったが、10位まで順位を下げてしまった
年末、順天堂大学の区間配置が発表された。5区には今井の名前があった。
「そのころ、今井さんは雲の上の存在でした。僕が高3のとき、今井さんが仙台育英学園高校の夏合宿に参加されたんです。そのときに坂を一緒に走ったんですが、まったく太刀打ちできなかった。そのときから今井さんのすごさを感じていましたし、同じ区間で走るときも今井さんは神のような存在だったので、意識をすることはなかったです」
「いつもどおりに走れば大丈夫」
そのときの東洋大学の目標は、「往路で5位内を死守」だった。
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その戦略として1区から4区まで、なんとか3位前後の上位を守り、5区の釜石に走りやすい順位で襷を渡す。そこまでが全体の共有意識としてあり、あとは釜石が粘って5位内に入ればOKというシナリオだった。
果たして1区から4区までは奮闘し、狙いどおりの展開になった。小田原中継所で釜石は2位、トップの東海大学とは2分差というポジションで山を上ることになった。
スタート前、川嶋監督からは、「いつもどおりに走れば大丈夫」と言われた。気持ちは落ち着いていたが、ユニフォームについては、佐藤コーチとどうすべきか最後まで悩んでいた。釜石は汗の量が多かった。Tシャツだと最初に汗をかくと濡れて重くなり、上りの際に影響が出てくる。最終的にランシャツ(ランニングシャツ)にするのだが、その決断がのちに思いもしない結果を導くことになる。