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大阪桐蔭“黄金世代”で春夏連覇のライトが商社マンに異例の転身…「TOEICが730点ないと出張に行けなくて…」24歳“青地スマイル”の意外な「その後」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by(L)本人提供、(R)AFLO
posted2024/12/31 11:02
根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)ら後のプロ選手を多く擁し、甲子園で春夏連覇を達成した大阪桐蔭最強世代。その一角だった男はなぜ商社マンの道を選んだのだろうか?
「しっかりメリハリをつけて、毎日時間を決めて勉強して。入社1年目の夏くらいには無事に730点を超えました。日常の業務でも英語を使っていたことが相乗効果だったんだと思いますけど、テストはテストなので。今でもまだ英語がちゃんと喋れなくて周りに迷惑をかけることはあります(苦笑)」
地道にコツコツと努力を重ねる姿勢は、2018年、大阪桐蔭で春夏連覇を成し遂げた当時から変わっていない。
根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、横川凱(巨人)、柿木蓮(日本ハム)と、高校から4人がプロ野球界に進み、現在は中川卓也(東京ガス)、山田健太(日本生命)、宮崎仁斗(トヨタ自動車)らも強豪の社会人野球でプレーを続けている。
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当時の大阪桐蔭は世間からは“最強世代”とうたわれ、その戦いぶりは常に注目の的だった。単純に選手の能力の高さだけでなく、幾度となく苦しい状況に追い込まれても、最終的には勝ち切るその底力も含めて、まさに「黄金世代のチーム」だった。
あの大阪桐蔭“黄金世代”で2年秋からレギュラーに
プロ注目打者がひしめくチームの中で、青地はどちらかと言うといぶし銀のような存在だった。
「(大阪桐蔭に)入学した時から周りはとにかくすごくて。でも、自分はただがむしゃらに練習しているだけでした。1年生の時は必死にやっていても体重は減るし、試合で結果は出ないし。それでも練習試合では西谷(浩一)先生(監督)には試合で使ってもらって。自分のそんな姿を見てくださっていて、それはすごく感謝しています」
2年の秋に右翼手のレギュラーとなった。
隣のセンターを守るのは藤原だ。身体能力が当時からチームで傑出し、すでにスーパープレーを連発していた藤原の存在は、青地にとって刺激的だった。
「藤原はもう、自分が何をやってもかなわない存在でした。圧倒的に能力が違っていたし、もともとすごいポテンシャルを持っていたので、プロにはこういうヤツが行くんやろうなって。あの頃はずっとそんなことを考えていました」