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「フジイ名人とぜひ指したい」欧米にアジア、アフリカ人まで…藤井聡太と将棋の“世界的人気”にA級棋士が驚き「タイチ先生のYouTube見てます」
posted2024/12/29 06:02
text by
中村太地Taichi Nakamura
photograph by
Nanae Suzuki
世界でも将棋熱が高まっている
2024年も暮れようとしていますが、あらためて振り返ると今年の将棋界も非常に話題満載でした。
藤井聡太竜王・名人のタイトル防衛劇に、八冠独占の一角を崩した伊藤匠叡王といった盤上の話題、さらには東西の新将棋会館が無事完成し、将棋ファンの皆様には感謝に堪えません。
私自身も順位戦A級を筆頭にした公式戦を戦いながら、12月に開催された「SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2024」の解説を担当するなど、各種イベントに出て将棋熱を肌で感じとることができて、うれしい限りです。
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その熱が日本国内だけでなく、世界でも高まっているのでは――そう感じる機会が、11月にありました。「国際将棋フォーラム」というイベントでのことです。
同イベントは将棋の国際的な普及・発展を目指して、そして実際に指されている各国の愛棋家の皆さんと交流ができればという目的でスタートしました。1999年に第1回が開催されて以降、3年に1度の間隔で開催しています。私も過去に何度か参加していたのですが、3年前の2021年はコロナ禍の影響でオンライン開催だったこともあり、日本で集ったのは2017年以来6年ぶり。羽生善治将棋連盟会長や藤井竜王・名人らも参加される中で、私も前夜祭から参加しました。
このイベントでは「国際将棋トーナメント」を開催していて、9回目となる今大会では45もの国と地域から計51人の代表選手が参加。私も対局を観戦し、感想戦でアドバイスをお伝えしました。一棋士として面白かったのは、振り飛車なら美濃囲い、といった具合に定跡に沿って進んでいく一方で、局面をよくよく見てみると「国が違うと、1つの囲いでも微妙に形が違う」んです。野球やサッカーなど各種スポーツでも起こる事象だと思いますが、文化の違いが美的センスや棋風に影響を及ぼすのかもしれない、と感じました。
フランスの方が「光速の終盤術を披露したい」
加えて公式ホームページの参加選手紹介を見ていただくと分かるかと思うのですが……皆さん、本当に将棋への見識が深い。
たとえば、好きな棋士について聞いたアンケートです。