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日本シリーズ“DeNA逆襲劇”の背景は捕手・戸柱恭孝のソフトバンク山川穂高対策にあり…一方の山川は「キャッチャーと勝負すると僕はほぼ負ける」
posted2024/10/31 15:40
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Naoya Sanuki
4試合が終わって2勝2敗のイーブン。横浜スタジアムで行われた1、2戦終了時にはソフトバンクの4連勝も、と思われた日本シリーズの展開だったが、勝負の行方は全く分からなくなってきている。
DeNAの逆襲劇の背景にあるのは第3戦の東克樹投手、第4戦のアンソニー・ケイ投手と、この2人の先発投手の好投がある。東は7回を1失点、ケイは同じく7回を0封と強力ソフトバンク打線をしっかり抑え込んだ。先発陣の好投に打線も呼応して、いいところで本塁打も出てまさに投打の歯車がしっかり噛み合っての勝利だった。
一方のソフトバンクだ。
ここにきての躓きの理由として、中継ぎ陣が点を取られていることが気になるところだ。
第3戦では2番手の大津亮介投手が2失点で負け投手となり、杉山一樹投手も1失点。第4戦も2番手の尾形崇斗投手が4失点を喫すなど、パワーピッチャーを揃えた自慢の中継ぎ陣がDeNA打線に捕まり決定的な失点をしてしまっている。
同時に今季圧勝の原動力となった打線にも、レギュラーシーズンで見せたほどの爆発力がない。その不発打線の一因として挙げられるのが、DeNAバッテリーの徹底した4番・山川穂高内野手への対策だった。第2戦では山川がシリーズ1号を放って連勝の立役者となったが、シリーズを通じてはその第2戦の3安打(1本塁打)以外は無安打とほぼ完璧に抑え込んでいるのである。
チャンスで凡打した山川の回想
第4戦も先発のケイが第1打席は初球のカットボールからチェンジアップを2球続けて空振り三振に仕留めると、4回の第2打席は150kmの外角ツーシームで右飛。2死二、三塁のピンチで迎えた6回の第3打席は、初球のチェンジアップで中飛に打ちとっている。そして9回の最終打席はJ・B・ウェンデルケン投手が1ボール2ストライクから真ん中低めにチェンジアップを落として空振り三振と4打数無安打という結果だった。