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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「三笘&堂安=攻撃はスゴいけど、守備は不安…?」森保ジャパン“攻撃型3バック”の課題を解消する人材は…森保監督好みの“NEXT冨安”を推す
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2024/10/18 11:29
J1で首位を走るサンフレッチェ広島で絶対的な存在に成長した中野就斗(24歳)。身長182cm、東京都出身。弟・力瑠もJリーガー
キック精度やスピード、そして対人の強さに定評がある中野は、桐生第一高校時代からプロ注目のセンターバックとして知られていた。頭の回転も速く、進学した桐蔭横浜大学でもDFリーダーとして最終ラインを統率してきた。身長182cmながら空中戦でも強さを発揮し、大学ナンバーワンDFとの触れ込みで2023年から広島に加入した。
そんな中野を指揮官ミヒャエル・スキッベは、3バックの最終ラインではなく、右サイドで起用した。生まれて初めてプレーするポジションに、中野は戸惑った。
「『俺で務まるの?』と。(ウィングバックは)自分に向いているポジションだと思ったこともないし、プロでは“真ん中”で勝負すると思っていましたから」
適応力の高い中野はルーキーイヤーの開幕戦でいきなりスタメンの座を掴んだ。だがここから「サッカー人生で一番悩んだ時期」が始まる。続く第2節のアルビレックス新潟戦でもスタメン出場したが、前半で交代。ここから途中出場が続いた。
「最初の2試合で『これでは通用しない』と感じました。攻撃も守備も両方できないと試合に出ることはできない。現実をいきなり突きつけられた」
コーチと何度も重ねたミーティング
本来のポジションではない。そもそも自分にウィングバックの適性があるのか。本職のセンターバックでアピールしたい気持ちも募り、自問自答の日々を過ごした。しかし、即戦力としての活躍が求められる大卒ルーキーは、自分の可能性を信じるしかなかった。
「何か特徴を出さないといけないと考えたときに、球際の強さ、キックの質を攻守においてアグレッシブに出すことが求められていると思ったんです」
細かい立ち位置、動き方を映像と照らし合わせ、迫井深也ヘッドコーチと何度もミーティングを重ねていくと、徐々に自分のやるべきことが明確になった。
「マッチアップした目の前の相手との1対1やデュエルに勝てればいいと思っていたのですが、そうではなく常に周りとの関わりを大事にしないといけないことに気づいたんです。『サイドでの1対1の状況が作り出せたら、お前の勝ちだ』との助言がストンと腑に落ちました」
攻撃面では、縦突破とクロスボールの精度を磨きながらビルドアップにも積極的に加わり、最近では「これが一番難しかった」と語っていた逆サイドからのクロスボールに飛び込み、シュートまで持ち込むシーンも明らかに増えてきた。
「ウィングバックというポジションを知れば知るほど、本当に奥が深いなと思いましたし、自分の中で新しい感覚が芽生えてきて、『勝負できるんじゃないか』と思うようになりました」