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青学大・原晋監督が不満げに言った「まだ4年生が甘い気がするなあ…」“まさかの3位”青学大の誤算…箱根駅伝まで3カ月「今日は30点かな」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNanae Suzuki
posted2024/10/15 17:42
出雲駅伝、本命とされた青学大は3位に終わった。悔しそうな表情でゴールした6区の太田蒼生(4年)
「中継所でたすきを渡すまで、どうやってマネージメントするかということです。中継所の前でスパートして勝ったからって、それは100点満点じゃない。一緒に走る選手、次の区間の力関係のなかで、たすきをどんな形で渡すのか。区間によっては1秒、2秒でも勝てば良しとするところもあるし、20秒、30秒と利益を生み出さなければいけない区間もある。つまり、たすきを渡すまでの『際』の部分、勝負に大きく影響する部分での詰め、こだわりが甘かったということです」
原因は“夏の異常な暑さ”か
それは青学大のスタッフ、共通の意見のようだった。伊藤雅一コーチは、「なにか、みんな合ってなかったですね」と首をひねった。
「たすきをもらってからの走りは良かったですよ。ただ、区間の中盤、中間走で粘れなくて。全日本に向けての課題がハッキリしたと思います」
今回の出雲では、青学大に限らず、「粘れなかったですね」と話す監督が目立った。なぜか? どうやらそれは夏の異常な暑さと関係しているようだ。
今年は暑さを避けるため、高地で合宿を行う学校が多かったが、それでも暑かったという。スタミナ系の練習メニューを組むと、ダメージが大きく、疲労が蓄積していく。そこでスピード系の練習が増えると、中盤で粘れなくなってしまう――。異常気象が、駅伝にも影響していたとも考えられる。
「まだ、4年生が甘い気がするなあ…」
結局、青山学院はレース後半の4区、5区の中間走で粘り切れなかったことが、3位に終わった直接的原因になった。「ここでもう少し粘れていれば」と原監督は悔しさをにじませる。
「アンカー対決、国学院の平林(清澄)君と、駒澤の篠原(倖太朗)君。盛り上がったよね。あそこにウチの太田(蒼生)がいれば、もっともっと盛り上がった。実際、太田と篠原君は同じタイムで走っていたわけだし、もう少し、展開も違っていたんじゃないかな」
見せ場で勝負に絡めなかった悔しさ。「なんだか、つかれたね」と苦笑いを浮かべながら、原監督は11月の全日本へと話柄を向ける。「たすき際」が甘かった選手たちに代わって、下級生の起用はあるのか。