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慶大・清原正吾(22歳)の指名はある? ドラフト直前、スカウトが語る“ホンネ”は…「入団したら使わないわけにいかない」「そこが一番悩ましい」
posted2024/10/15 06:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
10月に入って、ドラフト会議までのカウントダウンが始まった。プロ志望届、10日の締め切りを受けて、高校生159選手、大学生162選手の提出が完了した。
ここに来て、急に複数の人たちから同じ疑問を問われるようになってきた。
先日は、学生野球の神宮球場で、当事者のスカウトの方から、「あるんですかねぇ」と訊かれたから驚いた。
「そっちのほうがよく知ってるんじゃないですか」と笑って返したが、ほんとに見えていないようだった。
「清原選手って、指名されるんですか?」ないしは「清原選手、どこに指名されるんですか?」。
ふた通りの問いがある。
ひとつはドラフト指名の可能性、本人のプロ野球選手としての素質を問う場合。かたや、清原選手の具体的な進路に対する興味。どちらも、よくわかる。それぞれのケースに分けて、「現状」をお話ししてみたい。
野球選手の素質は…疑うべくもない「天才」
清原選手の野球選手としての素質についていえば、私は、疑うべくもないある意味の「天才」だと考えている。
中学、高校でゴリゴリの「勝負野球」に励んできた選手でも、なかなかなれない「慶應の4番」を、その6年間、全く別の競技(中学=バレーボール、高校=アメリカンフットボール)に取り組んできた清原選手がつとめているという「事実」は、まず何よりの「状況証拠」だろう。
そして、その身体能力と野球技術だ。
運動量豊富で高い瞬発力を必要とする2種の球技で育まれた、均整抜群の四肢とボディバランス抜群の身のこなし。
ちょい長めのサイズでゴロ処理に独特の感覚を要するファーストミットのハンドリングにもぎこちなさは感じないし、捕球から送球にかけての全身の連動とフットワークもよどみなく、スナップスローも達者にこなす。
とても「野球年齢3歳半」の新米(失礼!)には見えない。
「そこなんですよ!」
以前、あるスカウトの方が、「そこ」を指して困惑していた。