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「これで終わりなんだっけ…」男子バレー“まさかの逆転負け”の真相…敏腕コーチが映像を見直して確信「“イタリア戦”は完璧なスタートだった」
posted2024/09/27 11:05
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Koji Aoki/AFLO SPORT
パリ五輪の激闘から、もうすぐ2カ月。バレーボール日本代表の選手たちは再び4年後へ向けてスタートを切ったが、それはチームを支えてきたスタッフも同じ。帰国後、すぐに映像を見返すことができなかったという伊藤健士コーチらスタッフ陣が、次に進むために“あのイタリア戦”に向き合った。【NumberWebノンフィクション全3回の2回目/第1回、第3回も公開中】
近年の好成績を受け、バレーボール男子日本代表への期待は日に日に高まっていた。注目されればされるほど結果を残してきたが、世界中の視線が注がれる「五輪」では、その度合いも遥かに上回る。
村島トレーナーが感じていた“異変”
7月14日に日本を出発した代表チームは、事前合宿地でポーランド代表との親善試合をフルセットで勝利し23日に選手村へ入村。本番に向けて着々と準備を進めていた。
決戦の日が近づく中、S&Cコーチ・アスレティックトレーナーとしてチームを支えてきた村島陽介は、ある異変を感じていた。
「身体の面だけを見れば決して悪くない。一部の選手を除けば良い状態で迎えられていたと思います。ただ、心理的ストレスの面を考えると、やはり東京(五輪)とは明らかに違う。昨年のOQT(五輪予選)からいろいろな人と接して、パリに入ってからも期待されていることを肌身で感じる。そのナーバスさはこれまでとは違いました」
コンタクトスポーツに携わってきた村島は、バレーボール選手の繊細さをよく理解していた。自身の身体や感覚、些細な違いに敏感なだけに、メンタル面が気かがりだった。
「勝てる」という自信が、気づかぬうちに「勝たなければならない」とプレッシャーに変わる。それが最も顕著な形で現れたのが、パリ五輪の初陣、ドイツ戦だった。