炎の一筆入魂BACK NUMBER

要因は投手の疲労のみにあらず…9月4勝16敗のカープが大失速で露呈させた「積極的な野球」と表裏一体の「綻び」 

text by

前原淳

前原淳Jun Maehara

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2024/09/24 17:01

要因は投手の疲労のみにあらず…9月4勝16敗のカープが大失速で露呈させた「積極的な野球」と表裏一体の「綻び」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

9月に入り、苦渋の表情を見せることが増えた新井監督

 主戦投手との対戦が続いたこの9月、長打力不足に加え四球不足も広島の攻撃の手詰まり感を強くした。チーム四球数270個はリーグトップの阪神と153個の差がある。得点機や塁が埋まった状況でも、カウント3-1、フルカウントからボール球となる変化球に手を出すなどもったいない攻撃もみられた。

 積極性の中にある冷静な状況判断はチームとして磨かねばならない課題だろう。大事な時期にボーンヘッドのような牽制死も散見された。シーズン終盤になれば、ひとつのプレーで変わる流れが命取りになる。選手個々が状況判断や技術、意識を磨くだけでなく、担当コーチによる導きも欠かせない。

最高から最強への課題

 チームとしての成熟も求められる。今季最長の6連敗を止めた15日のDeNA戦では乱闘騒ぎが起きた。三塁ベンチから発せられたとみられる言葉に、新井監督、石原慶幸バッテリーコーチが激昂した。優勝争いから大きく後退したチームが最後に盛り返すきっかけとなるかもしれないシーンだったが、そんな期待は泡と消えた。翌日の試合で、広島はDeNAにあっさり敗れた。選手間でどのような声かけがあったのか分からないが、3連覇中であれば経験ある選手たちの声かけによってチームの雰囲気が保たれていた。

「みんなと一緒に野球やって、本当最高のチームだと思う。最強ではないけど、最高のチームだと思う」

 7連戦初戦の9月10日、新井監督は選手にそう伝えた。

 最高のチームが最強のチームになるには、足りないものはまだ多くある。強くならなければいけないことを突きつけられたシーズン終盤。どん底で味わった経験を、来季への光としなければいけない。

関連記事

BACK 1 2 3
広島東洋カープ
新井貴浩
大瀬良大地
九里亜蓮
床田寛樹
森下暢仁
矢野雅哉
藤井彰人

プロ野球の前後の記事

ページトップ