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「うぁぁーーー行くぞ!!」レーザー妨害や君が代ブーイングより…バーレーン戦取材記者の心が燃えた“陰のMVP”長友佑都、鈴木彩艶らの振る舞いとは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byREUTERS/AFLO
posted2024/09/11 18:25
レーザーポインター妨害に国歌斉唱時のブーイング。中東アウェイの洗礼にも日本代表の熱量は非常に高かった
この試合の前半、まるで30代半ばの経験豊富なゴールキーパーのようにふるまっていた日本の守護神の姿勢は誇らしいものだった。
アジアカップでは一度もクリーンシートのなかった日本が2試合続けて無失点で終わった守備陣の象徴。そんな立場で受けたパーレーンメディアからの取材が終わったあと、彼を呼び止め、こんな質問をぶつけずにはいられなかった。
「キックオフ直前の長友選手の行動は素晴らしいものでした。ただ、記者の立場から見られるのはほんの一部だけです。長友選手はチームメイトに対していつも、気を使ってくれるのですか?」
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鈴木はニコリと笑顔を見せながら、「いや……」とこちらの質問をやんわりと否定した。その上で、こう続けた。
「気を使っているというか、うーん……。心の底から、チームの勝利を本当に目指している。そういう(情熱のような)ものが本当に見えるので。チームに対して非常に良い影響を与えている長友選手がいて、助かっています!」
これが真相だ。
“ベンチ外”になりがちな長友が果たす、特大の役割
アモーレ、ブラボー……。
伊達男・長友はイタリアで使われる単語や表現を用いてコアなサッカーファンだけではなく、日本のお茶の間でTVを見ている人たちにもサッカーの魅力を発信してきた選手である。新規のサッカーファンを増やすことも、日本サッカーの長期的な発展には欠かせないことを理解した上で、時に道化師も演じてきた。
アジアカップ以降、多くの試合で「ベンチ入りする23名」のリストに長友の名前はない。にもかかわらず、日本代表としてコンスタントに活動するメンバーの1人として、長友は存在感を放ち続けてきた。
その理由はもうおわかりだろう。今年2月のアジアカップでイランに力負けした日本に欠けていたものを、長友は注入した。
それが〈passione:パッショーネ〉だ。
キックオフ時の気温が36.7度。前日の同時刻よりも6度近く上がった灼熱のバーレーンで行なわれた試合で5-0の快勝を飾れたメンタル面の要因は、長友がもたらした〈情熱〉である。この試合の陰のMVPは、チーム最年長のサイドバックだった。
では、日本が中国やバーレーンに大勝できた戦術的要因とピッチ外の要因は何か?それは、近日公開予定の「三球王」の異名をとる三笘薫の記事をお待ちいただきたい。〈日本代表特集:つづく〉