- #1
- #2
バレーボールPRESSBACK NUMBER
学生ビーチバレー会場で本当に起きている“盗撮被害”「(不審者は)絶対に入らないでほしい」保護者の切実な声…競技普及のための“課題”とは
text by
吉田亜衣Ai Yoshida
photograph byYoshihisa Kosaki
posted2024/09/18 11:03
マドンナカップにて、タンクトップでプレーする選手たち
保護者の切実な思い「肖像権を侵害するような人は…」
ユニフォームの自由化が競技拡大の追い風になっても、選手の肖像権をしっかり守ることが出来なければ、競技のイメージ向上や入り口を狭めてしまうリスクもある。前出の保護者は、ビーチバレーの競技特性を振り返り、言葉に熱を込めた。
「うちの子は身長163cm。高校は県内の強豪校でレギュラーにもリベロにもなれませんでした。それがきっかけでビーチバレーを始めることになったのですが、ビーチバレーに補欠はいない。小さくても必ずレギュラーになれるし、誰もが活躍できるチャンスがある素晴らしいスポーツだと思いました。高校でも終わらず、大学でもビーチバレーをやることを選択し、今では小さくても活躍している大学の先輩たちのようになりたいと日々がんばっています。だからこそ、会場には観客がたくさん入って盛り上がってほしいんです。でも、選手の肖像権を侵害するような人は絶対に入らないでほしい。しっかり境界線を作ってほしいですね」
パリ五輪の競技ウエアでは赤外線による透過盗撮を防止するユニフォームがスポーツメーカーにより開発され、悪質な行為を抑制する動きが見られた。注意喚起として効果を期待したいが、同時にスポーツ現場でのアスリートの人権を守る法整備や取り締まりを加速させていく必要があるだろう。
中学生の指導者「リスクで道が閉ざさせるのが非常に残念」
かつてビーチバレー日本代表として活躍した佐伯美香氏は現役時代、「ビキニ一択でなす術がなかった」と言い、赤外線による透過撮影の被害にもあったと話す。それからおよそ30年が経ち、現在中学生の指導にも携わっているという佐伯氏は、今後のユニフォームの流れをこんなふうに描いている。
「そういうリスクがあるからビーチバレーをしたくない、と思われて、道が閉ざされてしまうのは非常に残念。中学生の全国大会のユニフォームは2人揃っていればOKで、とくに形に規定はありません。インドアバレーのユニフォームを着て試合に出ているチームもいますよ。いずれ、インドアバレーからビーチバレーへの流れを作りやすくするためにも、インドアバレーのユニフォームを少し改良した形が望ましいと思います。要はシューズを履くか履かないか、サポーターをつけるかつけないかの違い。そんな気軽な気持ちでアンダーカテゴリーの選手たちにはビーチバレーにふれあってほしいですね」
暑熱の問題、フロアとビーチの違いはあるが、根本は同じバレーボール。そこに垣根がない世界観を作りあげていくことが、ビーチバレーの底辺を拡大していくための大切な要素ではないだろうか。《第1回「ビーチバレーのユニフォームはこう変わってきた」編も公開中です》