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学生ビーチバレー会場で本当に起きている“盗撮被害”「(不審者は)絶対に入らないでほしい」保護者の切実な声…競技普及のための“課題”とは 

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吉田亜衣

吉田亜衣Ai Yoshida

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photograph byYoshihisa Kosaki

posted2024/09/18 11:03

学生ビーチバレー会場で本当に起きている“盗撮被害”「(不審者は)絶対に入らないでほしい」保護者の切実な声…競技普及のための“課題”とは<Number Web> photograph by Yoshihisa Kosaki

マドンナカップにて、タンクトップでプレーする選手たち

“選手の意思”と“監督の意見”

「ある監督は、私たちに『ユニフォームはどうする?』と聞いてくれました。そのときはほぼ初心者だったので、ペアで話し合ってショートパンツを選びました。また違う監督のときは、最初からショートパンツが用意されていました。でも、パンツの裾がダボダボしていて動きにくいし、色も好みの色ではありませんでした。私たちの意見を伝えて動きやすい形で違う色のショートパンツに変えてもらいました」

 選手たちの競技する地域や環境によって選択するユニフォームはそれぞれ。ただ、実際にプレーする選手たちの意志が尊重されるか否かは別問題で、そこに監督の意志が尊重されるケースもあるようだ。

 学生選手たちの保護者はどう見ているのか。子どもが高校からビーチバレーを始めたという保護者は、こんな実体験を話してくれた。

「娘は外部の学校内にあるビーチコートで練習していたのですが、監督から必ずビキニで練習するように言われていました。パートナーの親御さんとも話して、『金網越しから誰が見ているかわからないのに大丈夫ですか』と監督さんに相談したこともありました。娘も最初は『脇やお腹を出すのが恥ずかしい』と言っていましたが、炎天下で砂の上で動いていると汗や砂がウエアにまとわりつくので、Tシャツやタンクトップを脱ぐようになり、上級生になるにつれて少しずつ慣れていったようです」

「地方の大会ほど取り締まりきれない」という現状

 10代後半は多感な年頃だ。肌の露出は、ただでさえ日焼け対策やムダ毛の処理などもあり、デリケートな問題でもある。保護者は続ける。

「個人差もあるので、周囲に強要されるのではなく、子どもたちが自ら判断したタイミングで自然にビキニを選択しているなら、問題ないと思います。あとは子どもの肖像権さえ、守ることができれば……」

 一向に被害がおさまらない、選手たちの肖像権を侵害する盗撮行為。全日本選手権や国内ツアーを主催する日本バレーボール協会は、大会会場の至るところに「撲滅 卑劣な盗撮」と看板を設置している。行為を見かけた際、QRコードによる通報を呼びかける防止策に取り組んでいるが、規制をかけていない地方の大会やアンダーカテゴリーの大会で被害は起きている。

 日本バレーボール協会ビーチバレーボール事業部本部長の川合庶氏は、深刻な面持ちで話す。

「昨年一般の大会で起こった被害は迷惑行為とみなされ、逮捕者が出ました。それとは別に選手の映像が悪用された事案もあり、警察に相談するような被害も出ています。地方の大会では、予算の関係で取り締まりができていなかったことが要因だと思います。どんな大会だろうとしっかりガイドラインを作り、未成年を含めた選手たちの権利を守っていくという方針を掲げています」

【次ページ】 保護者の切実な思い「肖像権を侵害するような人は…」

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