甲子園の風BACK NUMBER
甲子園スカウトの熱視線と懸念…“ドラフト候補エース4人”に飛ばないバット「評価に影響ないが、スケールの大きい打者が育ちにくいのでは」
text by
間淳Jun Aida
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/08/30 17:02
東海大相模の藤田琉生に関東一の坂井遼。プロ野球スカウトが高評価した投手とともに、低反発バットへの率直な印象も聞いた
長打が出にくい分、スケールの大きな打者が育ちにくいのでは
今大会は夏の甲子園で初めて低反発バットが導入され、「投手優位」、「犠打や守備力が勝敗を分ける」などと言われた。スカウトは、ある懸念を抱いているという。
「従来のバットよりも飛距離が落ちて長打が出にくくなった分、コンパクトにスイングして低い打球で野手の間を抜く打撃を徹底するチームが多かったです。もちろん、試合に勝つ確率を上げるためのチーム戦略として有効なのは理解できます。しかし、プロ野球のスカウトとしては、スケールの大きな打者が育ちにくくなるのではないかと心配な面があります」
高校野球は部活動であり、プロになるための選手育成の場ではない。ただ、ホームランバッターが激減すれば観客の楽しみは減り、野球界の未来にも影響を及ぼしかねない。それは先日取り上げた甲子園の酷暑対策への声にも通じる――大会運営する高野連と、現場でプレーする球児や彼らを評価するスカウトらとのギャップとも言える。<高校野球特集:つづく>