甲子園の風BACK NUMBER
甲子園スカウトの熱視線と懸念…“ドラフト候補エース4人”に飛ばないバット「評価に影響ないが、スケールの大きい打者が育ちにくいのでは」
posted2024/08/30 17:02
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Hideki Sugiyama
低反発バットの導入で今夏の甲子園は長打が大幅に減った。本塁打は計7本と昨夏から16本も減少。金属バットが使われるようになった1974年以降、最少となった。
打球が飛ばなくなったことで、選手の評価が今までよりも難しくなると思われがちだが、あるプロ野球のスカウトは「結果を見て選手の能力を判断しているわけではないので、評価には特に影響はありません」と否定する。ただ、将来的に気になるファクターはあるようだが――。
大社相手に初戦負け…今朝丸は「完成度も将来性もある」
今大会にはドラフト1位で確実に競合するような突出した選手はいなかったものの、上位で指名される可能性がある投手は複数人いたという。その筆頭が報徳学園・今朝丸裕喜投手。初戦で大社に敗れたため、登板は1試合のみとなったが、プロで活躍できる力が十分にあると見ている。
「長身から投げ下ろす直球は角度がありますし、右打者にも左打者にも内外角に投げ分けるコントロールもあります。高校生なので体の線はまだ細いですが、筋力をつけたら球速も球威も増す伸びしろを感じさせます。変化球とのコンビネーションで三振を取れるところも長所です」
今朝丸は大社戦に先発して、6回2/3を3失点(自責2)。初回に2点を失うなど立ち上がりは制球が安定せずに苦労したが、修正力の高さを見せて試合をつくった。左右どちらの打者にも直球で内角を突き、スライダーやフォークで空振りや凡打を積み重ねた。スカウトは安定感も評価する。
「2年生までは良い時と悪い時の差が顕著でした。今は調子があまり良くない時でも大きく崩れない技術や引き出しを身に付けました。理にかなった投球フォームで、リリースの感覚も優れているので計算できる投手です。高校生としては非常に完成度が高く、将来性も感じさせます」
198cm左腕の藤田は「他球団に行ってほしくないと」
甲子園での登板も含めて、この春から夏にかけて一気に評価を上げているのが東海大相模・藤田琉生投手だ。
今大会は3試合で計21回1/3を投げて、防御率0.84。関東一に準々決勝で敗れたが、存在感は抜群だった。スカウトは、その将来性にほれ込んでいる。